最新記事

米ロ関係

バイデン=プーチン、初の電話会談 新START延長で合意

2021年1月27日(水)11時16分

バイデン米大統領は26日、就任後初めてロシアのプーチン大統領と電話会談した。ホワイトハウスのサキ大統領報道官によると、新戦略兵器削減条約(新START)の5年間延長などを巡り協議が行われた。モスクワで2011年3月撮影(2021年 ロイター/Alexander Natruskin)

バイデン米大統領は26日、就任後初めてロシアのプーチン大統領と電話会談した。ロシア大統領府は、新戦略兵器削減条約(新START)の延長で合意したと発表、米ロ間に唯一残された核軍縮条約が存続することになった。

米ホワイトハウスは合意について確認していないが、バイデン大統領とプーチン氏が「新STARTの5年延長への両国の意欲」について話し合ったとした。「両国のチームが2月5日の期限までに延長を完了するため、緊急に作業を進めるという点で合意した」とした。

ロシア大統領府の首脳会談に関する声明によると、新START延長を確定し、2月5日の期限前の発効に必要な手続きを数日内に完了すると規定する外交文書が26日に交わされ、プーチン、バイデン両氏がこれに「満足の意」を表した。

ホワイトハウスは、外交文書についても言及していない。ただ、新START延長に向けた作業を巡る合意のほか、軍縮や台頭しつつある安全保障上の問題に関し、戦略的安定協議を模索することでも見解が一致したとした。

ある米政府当局者は、26日に文書を交わす予定だと述べた。

ロシア大統領府によると、プーチン大統領はバイデン大統領に米ロの関係正常化が両国双方にとって利益になると伝えた。トランプ政権時代に米国が離脱した領空開放(オープンスカイ)条約やイランの核問題、ウクライナの紛争についても協議したという。

ホワイトハウスはロシアに対して異論がある場合は問題を提起する考えだと強調。バイデン氏は「ウクライナの主権」に対する米国の強い支持を改めて示したと明らかにした。

また、バイデン氏が、ロシア反体制派のナワリヌイ氏の毒殺未遂やロシア系のハッカー集団が仕掛けたとされる米政府機関などへの大規模攻撃、ロシアがアフガニスタンの反政府勢力タリバン系の武装勢力に対し、連合軍兵士殺害の報奨金を設けたとされる報道など「他の関心事項」も議題に取り上げたとした。

「バイデン大統領は、米国や同盟国にとって有害なロシアの行動に対し、米国が国益を守るために断固たる行動を取るという点を明確に示した」とした。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・議会突入の「戦犯」は誰なのか? トランプと一族、取り巻きたちの全内幕
・新型コロナが重症化してしまう人に不足していた「ビタミン」の正体
→→→【2021年最新 証券会社ランキング】



20250225issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年2月25日号(2月18日発売)は「ウクライナが停戦する日」特集。プーチンとゼレンスキーがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争は本当に終わるのか

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 8
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 9
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必…
  • 10
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 4
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 9
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 10
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中