最新記事

絶滅危惧種

洪水で取り残された希少キリンを救う箱舟作戦

Stunning Video Shows Giraffe Being Rescued From Island Surrounded by Crocs

2020年12月3日(木)15時25分
アリストス・ジョージャウ

まるで「ノアの箱舟」キリン版。まだ7頭が取り残されている  World News/YouTube

<洪水で水に囲まれた8頭のロスチャイルドキリン。水路で安全な場所に運ぶため大胆な船が作られた>

ケニアで、希少種のキリン8頭を救うための大胆な作戦が進んでいる。洪水で周囲を水に囲まれた。水辺にはワニも待ち構えている。

自然保護の専門家と地元住民は協力して、身長5メートル近いキリンを一頭ずつ安全な場所まで運べる鉄製の船を作った。

だが、やっと一頭を運び終えたばかりのところで、救出作戦は時間との戦いになっていると、NGOの「今キリンを救え」は言う。

キリンはロスチャイルドキリンという絶滅危惧種で、ケニアの生息数は800頭にも満たず、アフリカ全体でも2000頭しか残っていない。

このキリンたちは2011年、保護活動家たちによって、ケニア西部のバリンゴ湖周辺のこの一帯に移された。孤絶した立地がキリンたちを密猟者から守り、個体数を増やせるのではないかと期待してのことだ。

しかし、最近の豪雨で湖の水位が日に15センチずつ上昇、キリンたちの生息地は陸の孤島になってしまった。

ケニア野生生物公社は複数のNGOや地元住民と協力して6.4キロ離れたところにあるフェンスで囲まれた18平方キロの安全地帯に運ぼうとした。

鉄製の巨大な箱舟

生息地が孤島になってしまってからは、保護活動家が餌を運び、定期的な健康チェックによってキリンたちを生かしてきた。

地元ルコ族は特製の船を作った。空のドラム缶を並べた上に乗せた長方形の箱のような船だ。

12月2日、救出チームはこの船を使い、他のキリンたちからも孤立していたアシワという名のキリンを運んだ。

「救出作戦はとてもうまく行った。アシワの足元の地面はもう4平方キロも残っていなかった。ルコ族も喜んでいた。残りの救出もうまくいくと思った」と、「今キリンを救え」の責任者デービッド・オコナーは言う。

あと2頭は明日運び、翌週に残りの5頭を運ぶ計画だ。

「出来るだけ早く移動させたい。このキリンは今静かに絶滅しかかっているので、1頭でも多く助けられれば大きな意味がある」

savegirafsnow.jpg
Save Giraffes Now/Facebook

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:「豪華装備」競う中国EVメーカー、西側と

ビジネス

NY外為市場=ドルが158円台乗せ、日銀の現状維持

ビジネス

米国株式市場=上昇、大型グロース株高い

ビジネス

米PCE価格指数、インフレ率の緩やかな上昇示す 個
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 5

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 6

    アカデミー賞監督の「英語スピーチ格差」を考える

  • 7

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 8

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 9

    大谷選手は被害者だけど「失格」...日本人の弱点は「…

  • 10

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 10

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈する動画...「吹き飛ばされた」と遺族(ロシア報道)

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中