強要された? バングラ政府のロヒンギャ移住計画にきな臭さ
バシャン・チョール島に向かうロヒンギャ難民 MOHAMMAD PONIR HOSSAIN-REUTERS
<ベンガル湾に浮かぶ無人島に10万人の難民を移住させるという当局の対応が示唆するのは...>
世界有数の人口密度の高さと土地不足に悩むバングラデシュにとって、隣国ミャンマーから流入したイスラム系少数民族ロヒンギャの扱いは頭痛の種。100万人が劣悪な環境の難民キャンプに暮らすなか、政府はベンガル湾に浮かぶバシャン・チョール島に難民10万人を移住させる計画を始めたが、人権団体などから懸念の声が上がっている。
無人だったこの島には居住区が建設され、12月4日に難民1600人が到着した。当局は事前に本人の同意を得たと説明するが、人権団体の調査では移住を強要されたとの証言もある。
また、移住先で安全な暮らしが送れる保証もない。当局は現代的な設備と新鮮な水、必要なインフラがそろっていると主張するが、島ではサイクロンの被害や洪水が頻発しており、仕事や教育、医療などの体制も整っていない。
人権団体はバングラデシュ政府に対し、国連機関による現地調査を受け入れるよう求めているが、返答はない。
<本誌2020年12月22日号掲載>