コロナ禍で世界的に詐欺事件が急増 架空請求からロマンス詐欺まで
バークレイズ関係者の話では、英国で、恋人を失って悩んでいる人を狙った「ロマンス詐欺」も10月、前月に比べて46%増加した。平均で9000ポンドをだまし取られている。
ロマンス詐欺の手口はさまざまだが、大概はデートアプリに架空の魅力的なプロフィルを掲載した犯罪者が、数週間から数カ月かけて粘り強く被害者と連絡を保った後、現金か何らかの贈り物をねだるやり口だ。
ローハンプトン大学で犯罪学と法言語学を研究するエリザベス・カーター氏は、だます側も、書面に露骨に現金が欲しいと書くのでなく、もっと巧妙な手法に変わっていると述べた。
まるで軍拡競争
ただ、銀行や司法当局も反撃に動いている。
消息筋がロイターに明かしたところによると、英ナットウエスト・グループは詐欺対策拡充のため専門家を追加で採用したほか、不正なローン申請を見破る新技術を導入した。
とりわけ英国で詐欺問題が深刻だ。英会計検査院は10月、小規模企業を対象とし政府が100%保証する融資制度「バウンスバック・ローン」で、最大260億ポンドが詐欺ないし経営破綻のために永久に返済されない可能性があると試算した。
HSBC、ロイズ、メトロバンク、ナットウエスト、バークレイズなど英銀7行は9日、正当な受取人のものだと信じ込まされた口座に入金してしまう「APP詐欺」に関して、該当する被害者への補償に応じる姿勢を表明した。英財務省のデータによると、今年前半のAPP詐欺被害額は2億0780万ポンドに上った。
バークレイズUKの詐欺対策責任者ジム・ウィンターズ氏によると、頻繁に取引をフィルターにかけて不正洗い出しの機会を最大限にする一方で、普通の決済は滞らせないようにする技術やプラットフォーム構築に向け、年数百万ポンドを投じている。
「われわれは詐欺師らがかなり高度な技術を使うことを認識している。だから互角の立場を確保しなければならない。彼らは資金も潤沢だし、自分たちがやっていることの意味もよく分かっている」と述べ、「月並みな表現だが、まるで軍備拡張競争だ」と指摘した。
複数の関係者は、国際的に事業展開する銀行が当局とコミュニケーションを強化し、詐欺師に新型コロナを利用させないよう協力を緊密にしていると指摘した。
(Sinead Cruise記者、Lawrence White記者)
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