広大な土地の米農村部、ワクチン接種に課題 最大の問題はドライアイスの確保
インディアナ州のシンシナティとインディアナポリスの間に位置するベイツビルの医療施設、マーガレット・メアリー・ヘルスは、医療や介護の従事者に接種の準備をするに当たり、ワクチンを無駄にしたり品質が劣化したりしないよう計画を進めている。そうした対象者は1400平方マイル(3626平方キロ)の広大な地域に散らばっている。予定している接種拠点は2カ所で、1カ所は消防署の敷地を使ってドライブスルー式にする。
そこでは、万が一に備えてドライアイスを大量に確保し、冷凍容器業者とも十分に契約した。接種予約の受付作業にも入ろうとしており、予約を入れても来場しなかった人の分のワクチンが無駄になるのを避けるため、その場合に対象になる人のリストも用意する。
同施設のティム・パットナム最高経営責任者(CEO)は「ワクチンを容器から取り出したら、必ず誰かの腕に接種することになる」と話した。
ドライアイス供給に不安
ファイザーと配送会社のUPSの間では、ドライアイスはオプションで詰め替え用に23キロが用意されるが、ワクチンの受け手側は自分で用意することになる。
多くの州は、既にドライアイスの配送日程を調整している。オハイオ州のゲム・アンド・サンズ社はオハイオ州との間で、1週間当たり1万5000ポンド(6804キロ)分のドライアイス片を、配送料込みで、1ポンド当たり0.55ドルで供給する契約だ。
ドライアイスは二酸化炭素(Co2)で作る。圧縮ガス協会(CGA)によると、コロナワクチンでCo2需要は5%増える見込みだが、供給は現在の生産能力で対応できるとみている。
しかし、一部のドライアイス供給業者は、どれだけ多くのドライアイスが必要になる分からない部分が多いため、ワクチン接種計画は難しい作業になると指摘する。テネシー州のネクスエアの担当副社長、スティーブ・アトキンス氏は「国内には供給態勢が脆弱だったり、不十分だったりするところも出てくるだろう」と述べた。
ドライアイスのCo2を作るエタノール工場の多くは、コロナ流行の早い時期に操業が停止。再生可能エネルギー協会によると、今は改善しているが、それでもCo2の生産量は前年を約25%下回る状態が続いている。
インディアナ州のあるドライアイス会社は、もっぱら地元の病院からの電話をさばいている。同社幹部は、ドライアイスの製造業者や配送業者は「ごく少ないからね」と話した。
(Stephanie Kelly記者 Lisa Baertlein記者 Carl O'Donnell記者)
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