韓国政府、「K-防疫」を過信してワクチン手配に出遅れた?
首都圏の飲食店の営業時間を夜9時までとし、カフェの店内利用を禁止してテイクアウトのみ可能としたが、帰宅時間が集中する夜9時過ぎには公共交通機関が混雑し、また店内飲食が可能なファストフード店などの軽飲食店がカフェ代わりに利用する人々で混雑する状況に陥った。
密を避けるため人が集まる店などの利用を規制した結果、規制されていない場所に人々が集中し、接触リスクが増したのである。
ワクチンの手配も出遅れた
感染の拡大防止に失敗した韓国政府はワクチンの手配も出遅れた。日本や米国、英国など、新型コロナウイルスが拡散した当初からワクチンの開発と手配に取り組んだ。日本政府はアストラゼネカとファイザーのワクチンをそれぞれ6000万人分、モデルナのワクチンを2500万人分など7月頃から購入契約を開始した。欧米と比べて遅いと指摘される日本だが、韓国はさらに遅かった。
韓国政府は7月頃から各国の製薬会社と協議をはじめたが、本格的な契約交渉を開始したのは、第3波に襲われた11月末だった。
英国とカナダは7種類、米国とEUは6種類、日本は3種類のワクチンを購入するなど、各国が複数の製薬会社と購入契約を締結するなか、韓国は国内の製薬会社に生産の一部を委託する予定のアストラゼネカのワクチンのみ1000万人分を確保した。
ワクチンの購入が決まると文在寅大統領は「トンネルの出口が見えた」と安堵したが、直後の12月9日、衝撃が襲った。アストラゼネカのワクチン開発を総括する研究所長が、アメリカ食品医薬品局(FDA)の承認が来年半ばになるという見通しを発表したのだ。ファイザーとモデルナはFDAが緊急使用を承認しており、来年2−3月には日本でも接種がはじまると見られるが、韓国は見通しが立たなくなった。
韓国政府は、16日午後、FDAとは関係なく韓国食品医薬品安全庁がアストラゼネカのワクチンの審査を進めると発表したが、一方、「FDAが許可していないワクチンを韓国当局が許可できるのか」「許可を出して果たして安全といえるのか」など、市民は不信を募らせている。