最新記事

中国貿易

アメリカを抜いてEUの最大貿易相手国にのし上がった中国の戦略的勝利

China Celebrates Surpassing US in Trade with EU for the First Time

2020年12月7日(月)15時53分
トム・オコーナー

バイデンはこれまで、自身の今後の中国政策についてほとんど明らかにしていない。だが、2日にニューヨーク・タイムズが報じたインタビューの中でバイデンは、トランプの対中通商政策も含め、短期間のうちに急いで新たな決断を下すことはないと示唆した。

「すぐに動くつもりはない。関税についてもそれは同じだ」とバイデンは述べた。拙速は避けるというわけだ。

それよりもバイデンは同盟国とともに「首尾一貫した戦略を立てる」ことを目指すと述べた。また同盟国に対しては、就任後の早い時期にアメリカが「同じページへと」立ち返る手助けをして欲しいとしている。

翌3日、中国共産党機関紙人民日報系のタブロイド紙「環球時報」は、立場や優先課題が異なるアメリカとEUが対中政策で足並みをそろえられるかどうかは疑問だとする論説を掲載した。

「ヨーロッパはアメリカとの新たな西側の団結を根っこではちゅうちょしているかも知れない。トランプ政権の過激な対中政策から言ってもそうだ。新たな摩擦は避けられないだろう」

「だが、西側の団結について定義する役割がヨーロッパ側に回り、一方でアメリカ側が決断を下す機会が減ってリソースを提供することばかり増えていった場合、アメリカ政府がそうした団結のあり方を受け入れることはないだろう」

また同紙は「中国の挑戦および中国がもたらした脅威」という考えは「大部分は想像の産物」だと切り捨てた。

米議会も中国に厳しい視線

だがワシントン政界では、中国の脅威はこれまでになく現実味を持って受け取られている。米議会の諮問機関「米中経済安保検討委員会」は1日、年次報告書を議会に提出。この中には米中関係の課題に関する575ページにわたるレポートも含まれていた。

レポートでは過去20年の委員会の歴史上初めて、中国がアメリカを「追い上げている」ことではなく「追い抜いている」ことに焦点を当てたという。

レポートによればヨーロッパは、中国が影響力拡大を狙う主要な舞台の1つだ。

中国外務省の華報道官は在ワシントンの中国大使館から本誌へのコメントの中で、同委員会について「中国に対するイデオロギー的な偏見に常にとらわれてきた」と主張。「委員会がこれまでにでっち上げてきたレポートの中の中国への非難中傷についても、事実に基づく根拠はない」と述べた。


20250218issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年2月18日号(2月12日発売)は「ガザ所有」特集。和平実現のためトランプがぶち上げた驚愕の「リゾート化」計画。現実になる公算は?

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

FRB利下げ、9月まで見送り観測高まる PCEは伸

ワールド

イラン大統領、核施設攻撃受けても再建可能 国営メデ

ワールド

ハマス、ガザ停戦継続を表明 「脅しと威嚇」は拒否

ビジネス

米PPI、1月前年比3.5%上昇 予想上回る
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ガザ所有
特集:ガザ所有
2025年2月18日号(2/12発売)

和平実現のためトランプがぶち上げた驚愕の「リゾート化」計画が現実に?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だった...スーパーエイジャーに学ぶ「長寿体質」
  • 2
    【徹底解説】米国際開発庁(USAID)とは? 設立背景から削減議論まで、7つの疑問に回答
  • 3
    吉原は11年に1度、全焼していた...放火した遊女に科された「定番の刑罰」とは?
  • 4
    【クイズ】今日は満月...2月の満月が「スノームーン…
  • 5
    夢を見るのが遅いと危険?...加齢と「レム睡眠」の関…
  • 6
    イスラム×パンク──社会派コメディ『絶叫パンクス レ…
  • 7
    終結へ動き始めたウクライナ戦争、トランプの「仲介…
  • 8
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 9
    便秘が「大腸がんリスク」であるとは、実は証明され…
  • 10
    駆逐艦から高出力レーザー兵器「ヘリオス」発射...ド…
  • 1
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 2
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だった...スーパーエイジャーに学ぶ「長寿体質」
  • 3
    Netflixが真面目に宣伝さえすれば...世界一の名作ドラマは是枝監督『阿修羅のごとく』で間違いない
  • 4
    研究者も驚いた「親のえこひいき」最新研究 兄弟姉…
  • 5
    メーガン妃の最新インスタグラム動画がアメリカで大…
  • 6
    戦場に響き渡る叫び声...「尋問映像」で話題の北朝鮮…
  • 7
    2025年2月12日は獅子座の満月「スノームーン」...観…
  • 8
    iPhoneで初めてポルノアプリが利用可能に...アップル…
  • 9
    「だから嫌われる...」メーガンの新番組、公開前から…
  • 10
    極めて珍しい「黒いオオカミ」をカメラが捉える...ポ…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 5
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 6
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 7
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 8
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 9
    戦場に「杖をつく兵士」を送り込むロシア軍...負傷兵…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中