韓国メディアはリストラの時代? ニュース番組にAIアナ続々登場へ
AIアナでリードする中国はロシアに派遣まで
実は、報道分野に関しては、すでにAIが導入されている。2016年ごろから、国民日報、毎日経済新聞、ソウル経済新聞、韓国経済新聞などの新聞社では、データを入力すると、株式市場や不動産、天気予報などの原稿を自動で書いてくれるAI記者が活躍中だ。
また、今年4月からは、聯合ニュースが天気予報とPM2.5などのデータを把握し、自ら記事を書くAI記者を採用している。近い将来、ニュースは記事の作成もそれを読むアナウンサーも、人間に代わってAIがその役割を担う日が来るのは確実だ。
今回、韓国で史上初となるAIアナウンサーのTVデビューが発表されたが、世界初のAIアナウンサーは誰だかご存じだろうか? 実は2年も前に中国で登場している。
中国国営放送である新華社通信が、2018年11月中国で開かれた世界インターネット大会にてAIアナウンサーを発表し注目を集めた。こちらは、男性アナウンサーで、キム・ジュハさん同様、新華社通信に勤める実在のアナウンサーをコピーして作られている。
その後、昨年3月に新小萌さんという女性アナウンサーが正式TVデビューした。さらに、英語を得意とする男性AIアナウンサーも登場し、6月には、リサというロシア人のAIアナウンサーも発表している。新華社通信の発表によると、リサは中露外交70周年を記念して共同開発されたAIアナウンサーであるという。
日本にもAIアナはいるけれど
もちろん、日本でも数人のAIアナウンサーたちが活躍している。有名なところでは2年前NHKの報道番組「ニュースチェック11」にて登場した「ニュースのヨミ子」さんだ。これは本物のアナウンサーをモデルにした中国や韓国とは異なり、かなりキャラクター化されている。それもそのはず、ヨミ子さんの外見を手掛けたのは、一世風靡したキャラクター「コップのフチ子さん」を生み出したタナカカツキが担当したそうだ。ヨミ子さんは、見た目もフチ子さんとよく似ている。
「ニュースチェック11」が去年放送最終回を迎え、「ニュースのヨミ子」さんは今、「ニュース シブ5時」という番組にて、その週のニュースランキングを紹介するコーナーを担当している。
ほかにも、今年2月にテレビ朝日が発表した「花里ゆいな」さん。AIベンチャーのSpecteeが開発した音声AIアナウンサー「荒木ゆい」さんなどが活躍しているが、どちらも外見はアニメ調の画像で、韓国や中国のように実際に人間に代わってニュース番組に出演することは想定していないようだ。
毎年「AIに仕事を奪われ、無くなる職業」ランキングなど発表されている。一説によると10年後には約半分の職業が人間の手を離れ、AIが代わって働いてくれるようになるそうだ。そんなSF映画のような世界、まだまだ先の話だろうと思っていたが、実際中国と韓国ではすでにAIが表舞台の一端を担うようになってしまった。
たしかに、AIアナウンサーを雇用すると時間も費用も節約でき、その分より良い番組作りに生かせるかもしれない。それでもなお、AIより生身の人間アナウンサーを使うメリットはどこにあるだろうか。そして、今の自分の職業は、AIよりも人間でなくてはならない必然性はあるのだろうか? 改めて考えさせられる事例である。