中国TPP参加意欲は以前から──米政権の空白を狙ったのではない
オンライン形式で開催されたAPEC2020に出席した習近平(11月19日) APEC CEO DIALOGUES MALAYSIA 2020/REUTERS TV
習近平は20日のAPEC首脳会談でTPP11 への参加意欲を表明したが、2017年のアメリカ離脱直後に表明しており停止条項に注目していた。RCEP締結を優先しただけで米政権の空白を狙ったわけではない。
習近平がAPECでTPP11 への参加意欲を表明
11月20日夜からリモートで開催されたAPEC(アジア太平洋経済協力会議)の首脳会議で、習近平国家主席はCPTPP=TPP11 (環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定)への参加に意欲を示した。
TPP11 は今さら説明するまでもないが、トランプ政権が誕生するとすぐに(2017年1月)トランプ大統領がTPP(12ヵ国)からの離脱を宣言したため残り11ヵ国で新たに締結した協定だ。
習近平は20日のAPECのスピーチで「世界とアジア太平洋地域は大きな変革期にあり、新型コロナウイルスの感染拡大がそれを加速させている」と述べ、2017年以降何度もくり返してきた「単独主義や保護主義に反対し、自由で開かれた貿易や投資を促進させ、早期にアジア太平洋地域の自由貿易圏を構築しなければならない」という主張を強調した。
これに関して日本の大手メディアは「アメリカの大統領選挙による政権の空白に乗じた決定だ」と解説しているが、これは不適切な解釈だ。
なぜなら今年5月28日、李克強首相が全人代終了後の記者会見で既にTPP11への参加について「中国は前向きで開放的な態度を取っている」と述べているからだ。そもそも2017年の時点で中国外務省は正式に参加に意欲的である旨の発言をしている。
2017年1月に既に意思表明
2017年1月24日の中国の外交部記者会見で、中国はすでにアメリカが離脱した後のTPPへの参加に意欲を表明している。
というのはトランプがTPPを離脱する文書に正式に署名するとすぐに、オーストラリアのスティーブン・チョーボー貿易・観光・投資大臣は中国に「アメリカが抜けたので、TPPに加盟しませんか?」と打診してきたのだ。
当時、オーストラリアのターンブル首相とトランプ大統領は犬猿の仲で、トランプ大統領はターンブル首相との電話会談を途中で打ち切り「過去最悪の対談だった」と述べたことは記憶に新しい。