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バイデンとの関係に苦慮する文在寅政権

2020年11月26日(木)17時00分
佐々木和義

バイデン氏は「(米韓同盟は)インド太平洋地域の安全保障と繁栄の中心軸」と表明した。米韓同盟の重要性を強調したが、中国を牽制する米日豪印4ヶ国連携「クアッド」への参加を示唆したとも受け取れる。

バイデン氏は日韓慰安婦合意に米副大統領として関わったとみられる

米中の葛藤が深まるなか、軍事は米国、経済は中国という綱渡りの二股外交を展開している文在寅政権が困難な立場に置かれる可能性があり、また、日本との関係も文政権には気になるところだ。

2012年8月、当時の李明博大統領が竹島に上陸し、同年12月、在韓日本大使館前に慰安婦像が設置され、また翌13年から朴槿恵前大統領が告げ口外交を展開するなど日韓関係が悪化すると、オバマ-バイデン政権は関係改善の圧力をかけた。

オバマ前大統領は2014年3月、日米韓首脳会談を主催し、15年11月の日米首脳会談でも安倍晋三前首相に日韓関係の改善努力を促した。日本と韓国は同年12月、慰安婦問題で合意し、翌16年には日韓GSOMIAを締結した。

バイデン氏は、文大統領が破棄した日韓慰安婦合意に米副大統領として関わったとみられており、菅義偉首相は官房長官として関与している。大統領就任後に、日本への歩み寄りや米日豪印4ヶ国連携クアッドへの参加、また、慰安婦合意やいわゆる徴用工問題など韓国が従わざるを得ない状況になると、朴槿恵前政権を否定して誕生し、反日で支持率を高めた文政権は根底から覆る。

現在、中国の王毅外交部長の訪韓日程調整が進められている。表向きは韓国が目論む中韓首脳会談と日中韓首脳会談の事前協議だが、韓国の対米・対中政策を牽制するとみられており、文在寅政権は苦慮している。

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