最新記事

米軍事

トランプ、アフガン駐留米軍を一部削減へ 完全撤退せず

2020年11月18日(水)11時42分

トランプ米大統領は、アフガニスタン駐留米軍の規模を来年1月半ばまでに現在の4500人から2500人に大幅に削減する。写真はヘルマンド州での訓練中にアフガニスタン軍の兵士たちと言葉を交わす米海兵隊員(中央)。2017年7月撮影(2020年 ロイター/Omar Sobhani)

トランプ米大統領は、アフガニスタン駐留米軍の規模を来年1月半ばまでに現在の4500人から2500人に大幅に削減する。米国防総省が17日、発表した。トランプ氏はクリスマスまでに完全撤退させる方針を示していたが、一部削減にとどまる。

アフガン駐留米軍の一部撤退については前日、ロイターが先行報道していた。

トランプ氏が先週、電撃解任したエスパー前国防長官の職務を引き継いだミラー国防長官代行は、アフガン駐留米軍の一部撤退を確認するとともに、イラク駐留米兵も現在の3000人から2500人に小幅に削減すると説明した。

ミラー氏は、記者団に対し「2021年1月15日までにアフガン駐留米軍の規模は2500人になる。イラク駐留米軍の規模も同日までに2500人になる」と述べた。

さらに「これは米国民が支持する確立された計画と戦略目標に合致しており、米国の政策や目標の変更には当たらない」と説明した。

一方、共和党のマコネル上院院内総務は記者団に対し、「今後数カ月は防衛・外交政策で重大な変更を行わないことが極めて重要だ」と述べ、アフガン・イラクでの米兵の急な削減方針をけん制した。

下院軍事委員会のソーンベリー委員長(共和党)も、駐留米軍の削減を「誤りだ」と批判。「アフガンでのさらなる規模縮小は当地での交渉にも影響を与える。タリバンはこの削減を正当化するような条件を何も満たしていない」と述べた。

米国とアフガンの当局者は、アフガン反政府勢力のタリバンによる攻撃激化や国際テロ組織アルカイダとの関連性について警鐘を鳴らしている。

リック・オルソン元アフガン・パキスタン担当特別代表は、2500人の駐留規模縮小について、和平プロセスを進める上で、米国に引き続き一定の影響力を与えるものの、「4500人で維持したほうが良かっただろう」と指摘。「完全撤退ならひどい事態になるだろうが、2500人ならおそらく、米・タリバンの和平合意が維持される限り安定は保たれる。しかし、タリバンは約束通りに攻撃を減らしておらず、そうならない可能性もある」と述べた。

ロナルド・ニューマン元駐アフガン大使も、「計画よりも早く撤退すれば、タリバン側に交渉する動機がなくなる」と指摘した。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・【調査報道】中国の「米大統領選」工作活動を暴く
・巨大クルーズ船の密室で横行する性暴力


ニューズウィーク日本版 独占取材カンボジア国際詐欺
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年4月29日号(4月22日発売)は「独占取材 カンボジア国際詐欺」特集。タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシア・ウクライナ、二国間協議に前向き姿勢 実現な

ビジネス

米国株式市場=ダウ971ドル安、トランプ氏のFRB

ビジネス

NY外為市場=ドル3年ぶり安値、トランプ氏がFRB

ワールド

米ホワイトハウス、新国防長官探し開始との報道を否定
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボランティアが、職員たちにもたらした「学び」
  • 2
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投稿した写真が「嫌な予感しかしない」と話題
  • 3
    遺物「青いコーラン」から未解明の文字を発見...ページを隠す「金箔の装飾」の意外な意味とは?
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?.…
  • 6
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初…
  • 7
    「アメリカ湾」の次は...中国が激怒、Googleの「西フ…
  • 8
    なぜ? ケイティ・ペリーらの宇宙旅行に「でっち上…
  • 9
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 10
    ロシア軍、「大規模部隊による攻撃」に戦術転換...数…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇した「透けレギンス」投稿にネット騒然
  • 4
    パニック発作の原因とは何か?...「あなたは病気では…
  • 5
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 6
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 7
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はど…
  • 8
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 3
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 7
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 8
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 9
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 10
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中