コロナ禍に揺れる旧ソ連圏 プーチン帝国の支配に衰えも
高まる怒り
当初、選挙結果が発表されてメケンチル党が議席獲得に必要な票数を得られなかったことが分かると、人々は憤激した。
10月5日、抗議行動が始まった。集まった群衆は政府庁舎ビルに突入した。現職の内閣は退陣を余儀なくされ、収監されていた元政治指導者は解放された。キルギスの指導部は空白状態に陥った。
4日にわたり、対立する勢力が別々の首相候補を支援しようと集まるなかで、中立的立場の1人が軸になる結果となった。
首相指名をめざす2人の対立候補の支持者が近隣でデモを行う傍ら、釈放された政治家の1人で、誘拐容疑で有罪判決を受けていたサディル・ジャパロフ氏の支援者数千人が騒然とした集会を開催していた。
ある時点で、ジャパロフ氏支持者の一部が他のグループを襲撃し、石や瓶を投げ、ビシケク中心部の広場から退却させた。発砲もあった。
キルギス駐在米国大使館は、声明のなかで「民主主義の進展を阻む障害の1つは、組織的な犯罪集団が政治・選挙に影響を及ぼそうと試みることだ」と述べ、ビシケク中心部の広場における「暴力と威嚇」を非難した。
窮地に動いたプーチン政権
10月12日、プーチン大統領の首席補佐官代理がビシケクに飛び、窮地に陥っていたソーロンバイ・ジェエンベコフ大統領、同大統領の立場に異議を唱えるジャパロフ氏と会談した。
この頃、ロシア連邦保安庁(FSB)長官は、新任のキルギス治安当局者と協議を行っていた。ロイターが閲覧した航空機追跡データからは、FSBが使用する航空機が少なくとも1機、ビシケクに到着していることが確認できる。
暴力を伴う混乱が1週間近く続いた後、10月14日、議会は投票をやり直した結果、ジャパロフ氏を首相に指名した。1日後、ジェエンベコフ大統領は辞任し、ジャパロフ首相は大統領の権限も代行することになった。
ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は新政権に対し、ロシア政府が「合法的な当局」が事態を沈静化させることを支援する用意があると保証した。
ジャパロフ氏もすかさず、ロシアへの友好的な姿勢を約束した。
「ロシアは長年にわたって我が国の戦略的パートナーである」とジャパロフ氏は語った。「その関係は、今後も続くものである」
(翻訳:エァクレーレン)
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