最新記事

東南アジア

タイ、民主化デモで40人超負傷 警察が放水銃や催涙弾、銃撃も

2020年11月18日(水)09時03分

タイの警察は17日、国会に向けて行進していたデモ隊に放水銃と催涙弾を使用し、少なくとも41人が負傷した(2020年 ロイター/JORGE SILVA)

タイの警察は17日、国会に向けて行進していたデモ隊に放水銃と催涙弾を使用し、少なくとも41人が負傷した。若者が主導する抗議運動が7月に始まって以来、最も激しい衝突となった。

デモ隊は、憲法の変更を議論している議員に圧力をかけるために国会に集結。デモ隊はまた、元陸軍司令官のプラユット首相の解任と、ワチラロンコン国王の権力の抑制を求めている。

バンコクのエラワン医療センターによると、負傷者は少なくとも41人に上り、そのうち12人が催涙ガスを受け、5人は銃撃で負傷した。誰が銃を発砲したかは明らかにされていない。

民主化を求めている団体「フリー・ユース」に属する31歳の男性ボランティアは「残忍だ」と語った。デモ隊は、その場しのぎの盾を使い前進した。

プラユット氏は2014年に軍事政権のトップとして政権を奪取し、昨年の選挙後首相の座に留まった。プラユット氏は、選挙が不公平だったという野党の非難を否定している。

デモ隊は、軍が権力を握り続けることを可能とするタイの制度の抜本的な改革を要求しており、タイでは5カ月間にわたり抗議運動が高まっている。一方、反デモ隊の王室支持者は、抗議運動が君主制を脅かすとしている。

議員らは憲法改正に向けたいくつかの案を議論している。王室の役割を変える可能性を排除する内容も含まれている。

上院の役割についても議論されている。上院はプラユット氏の前軍事政権によって選ばれた。プラユット氏が争点となっている昨年の選挙で議会の過半数の票を獲得し権力を維持することに役立った。

王室支持者を率いるWarong Dechgitvigrom氏は「憲法改正は王室廃止につながる」と指摘。デモ隊は王室を廃止することは望まないと述べた。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・コロナが改めて浮き彫りにした「毛皮工場」の存在
・巨大クルーズ船の密室で横行する性暴力



20240521issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年5月21日号(5月14日発売)は「インドのヒント」特集。[モディ首相独占取材]矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディの言葉にあり

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

上海市政府、データ海外移転で迅速化対象リスト作成 

ビジネス

中国平安保険、HSBC株の保有継続へ=関係筋

ワールド

北朝鮮が短距離ミサイルを発射、日本のEEZ内への飛

ビジネス

株式・債券ファンド、いずれも約120億ドル流入=B
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 2

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた異常」...「極めて重要な発見」とは?

  • 3

    存在するはずのない系外惑星「ハルラ」をめぐる謎、さらに深まる

  • 4

    羽田空港衝突事故で「日航の奇跡」を可能にした、奇…

  • 5

    「円安を憂う声」は早晩消えていく

  • 6

    老化した脳、わずか半年の有酸素運動で若返る=「脳…

  • 7

    アメリカはどうでもよい...弾薬の供与停止も「進撃の…

  • 8

    共同親権法制を実施するうえでの2つの留意点

  • 9

    日鉄のUSスチール買収、米が承認の可能性「ゼロ」─…

  • 10

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中