「燃える水道水」を3年間放置した自治体を動かした中国の証拠動画
Burning Tap Water Goes Viral in China After Natural Gas Seepage
水道水にライターを近づけると発火した People’s Daily, China/YOUTUBE
<水道水が油っぽいという住民の苦情を無視し続けた当局も、この異常な動画はさすがに無視できなかった>
蛇口から出る水道水にライターを近づけると発火する──中国北東部で撮影されネットに投稿された驚きの動画が、注目を集めている。動画の拡散を受けて、問題の地域では水道水の供給が停止された。
中国メディアの報道によれば、動画は遼寧省盤錦市の大窪区で撮影されたもの。この地域の住民たちは、少なくとも2018年からこのような現象がみられると言っており、ある女性は「3~4年前から」水道水がガスを含み「油が混じる」状況が続いていると語った。
ウェンと名乗るこの女性は、ソーシャルメディアに動画を投稿したのは自分だと明かした。彼女によれば、自宅の水道の蛇口から引火性の高い水が出てくる状態がしばらく続いていたものの、国営テレビの中国中央電視台(CCTV)や中国共産党の機関紙「中央日報」などの主要メディアが問題の動画について報じるまで、何の対処も講じられなかった。
動画は、女性の父親が洗面台の蛇口から流れる水にライターを近づけ、水が燃え上がる様子を撮影したもの。この動画にハッシュタグがつけられてネット上に拡散し、中国版ツイッターの微博(ウェイボー)で2億5000万回以上、閲覧された。
「通常の水道水に比べると、私たちの地域の水道水は油っぽいように思う」とウェンはCCTVに語った。彼女の父親が夏に地元の水道局に苦情を申し立てたものの、問題への対処はなされず、代わりに水道料金を100元(15ドル)割引すると言われたという。
原因は「天然ガスの混入」
「水は無臭だがガスを含んでいるようで、母は健康への悪影響を心配していた」とウェンは言い、最初に異変に気づいたのは「3~4年前」だったと主張した。
CCTVの報道によれば、大窪区の住民たちはこの動画に驚かなかったという。この地域では100世帯以上で水に油が混じる状態が続いており、少なくとも1人の住民が、キッチンでガスこんろを使っていた時に水道を使ったら、水が燃え出したことがあると報告している。
「燃える水」の問題が報道された数時間後、地元自治体の当局者たちは、この区域一帯への水の供給を停止。予備調査を行い、11月24日にその結果を発表した。
大窪区の広報局は、大窪区の水道は地下およそ1370メートルから汲み上げる地下水を水源としているが、この地下水に天然ガスが溶け込んでいたことが問題の原因だったと説明した。また地元自治体は(住民たちが数年前から問題があったと主張しているにもかかわらず)、水道水が燃える現象は、最近になって地下水の保管装置を改良した後に発生したと述べた。
広報局は、復旧作業を行う間、地元住民には別の水源から引いた水を供給していると説明し、誤ってガスが混入した問題については、責任の所在を調査中だとつけ加えた。
盤錦市は、天然ガスの貯蔵施設があることで知られている。2019年11月には、国営の中国石油天然気集団(CNPC)の遼河油田分公司が、85億ドルを投じて、この地域で最大規模となる天然ガスの貯蔵施設を建設すると発表した。