民主化求めるデモ隊に守勢のタイ王制支持派 「国王の意思」力に反転攻勢を狙う
王制支持派の一部の指導者は、暴力を否定している。彼らにとって、王制は政治を超越した存在であり、王制を擁護することは政治的ではない。
だが、自警団組織のリーダーである前出のリャントン氏は、大学構内での小競り合いは普通のことだと位置付け、さらに厳しい行動への支持は高まっていると話す。「王権に対する侵害が拡大するようなら、王制支持派は座視してはいない。暴力をエスカレートさせることにちゅうちょしないだろう」と記者らに語った。
明らかな敵意
反政府抗議デモの参加者は、非暴力的なアプローチを強調しつつも、憂慮している。
抗議の先頭に立つジュタチップ・シリカン氏は「彼らの一部は明らかに我々に敵意を抱いている」と話す。
大学での衝突に介入した警察は、誰に対しても公正に振る舞い、暴力を阻止すると語る。
先週、非常事態宣言を解除した際、プラユット首相は、国会で危機を解決できるよう、事態が沈静化することを願っていると語った。特別国会は26日に開会するが、抗議デモ参加者は国会をほとんど信頼していない。
国会で圧倒的な多数を握っているのは、プラユット派である。昨年の総選挙以前に、軍が上院議員全員を選んでしまっており、総選挙についても野党側はプラユット政権維持のために不正が行われたと主張している。プラユット首相は、選挙は公正だったと述べている。
抗議デモ参加者と野党政治家たちは、プラユット首相が時間稼ぎをしているのではないかと疑っている。「プラユット将軍が、そう簡単に屈服すると想定するわけにはいかない。国王が全面支持をチラつかせている以上、なおさらだ」と語るのは、シンガポールのISEASユソフ・イシャク研究所のタームサク・チャレルムパラヌパップ氏。
王制支持者によるイベント開催は増加しており、1カ月前にはほとんど見られなかったのが、現在ではほぼ毎日集会が開催されている。
これまでのところバンコクでは、反政府抗議デモに数万人が集まるのに対して、王制支持派の集会はせいぜい200─300人規模に留まっている。
だが、バンコク以外では黄シャツの人々が数千人も集まるなど、動員が拡大している兆候がある。ただし、群衆の中には国営企業の従業員が含まれている場合もある。
タイ国民の多くは今後の展開を憂慮している。
国立開発行政研究所が行った世論調査によれば、タイ国民の60%近くが、対立するグループ同士の、あるいは他の当事者による介入に伴う暴力を懸念しているという結果が出ている。
Chayut Setboonsarng and Matthew Tostevin(翻訳:エァクレーレン)

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