最新記事

2020米大統領選

アメリカ大統領選の最終討論会、トランプとバイデンがコロナ対応めぐり激しい応酬 初回より落ち着きも

2020年10月23日(金)16時17分

両候補はこのほか、医療保険や対中政策、人種問題などでも衝突。バイデン氏はトランプ氏を歴史上「最も人種差別的な大統領の1人」と呼び、「ありとあらゆる人種差別の火に油を注ぐ」と非難した。

一方トランプ氏は、1994年にバイデン氏が起草した犯罪法が未成年者の収監増加につながったと指摘。リンカーン元大統領は例外かもしれないが、黒人のためにこれほど貢献した大統領は自分以外にいないと主張した。

医療保険や気候変動対策でも対立

バイデン氏は、トランプ氏が最高裁に医療保険制度改革法(オバマケア)の無効化を求めていることを批判。同法の下では既往症のある人の加入を保険会社が拒否できないことに言及し、「国民は手頃な医療を受ける権利がある」と強調した。

トランプ氏は、同様の保護を提供する「もっと優れた」制度を代わりに導入すると反論した。米政権は包括的な医療保険制度に関する提案を依然行っていない。

また、気候変動に関する議論でバイデン氏は、自身の計画では再生可能エネルギーに向けて「石油産業から移行」すると発言。するとトランプ氏は「彼は石油業界を破壊する」と攻撃材料にし、テキサス州やペンシルベニア州の有権者にバイデン氏の発言を忘れるなと訴えた。

世論調査ではバイデン氏が支持率でリードしており、この日の討論会は流れを変えたいトランプ氏にとって残された最後の機会の一つとなった。一部の激戦州は接戦の様相となっており、これらの州が勝敗を左右する可能性が高い。

ただ、これまでに過去最多の4700万人が期日前投票を済ませており、態度を決めていない有権者が比較的少ないため、トランプ氏が流れを変える余地は限られている。

第2回討論会は15日に予定されていたが、トランプ氏が今月初めにコロナに感染したことを受け、討論会の実行委員会はバーチャル形式に変更することを決め、トランプ大統領が参加を拒否していた。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・強行退院したトランプが直面する「ウィズ・コロナ選挙戦」の難題
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ



20241126issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年11月26日号(11月19日発売)は「超解説 トランプ2.0」特集。電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること。[PLUS]驚きの閣僚リスト/分野別米投資ガイド

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米共和強硬派ゲーツ氏、司法長官の指名辞退 買春疑惑

ビジネス

車載電池のスウェーデン・ノースボルト、米で破産申請

ビジネス

自動車大手、トランプ氏にEV税控除維持と自動運転促

ビジネス

米アポロ、後継者巡り火花 トランプ人事でCEOも離
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 2
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 5
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    若者を追い込む少子化社会、日本・韓国で強まる閉塞感
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 10
    中国富裕層の日本移住が増える訳......日本の医療制…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中