最新記事

米大統領選

ハリス・ペンス副大統領候補対決の勝者は「バイデン」だ

Who Won the VP Debate?

2020年10月12日(月)16時35分
ジェニー・フィンク

ハリス(左)もペンスも相手の質問を巧妙にかわす場面が少なくなかった BRIAN SNYDAR-REUTERS

<「史上最悪の討論会」に続いて行われた、樹脂ガラス越しの米副大統領候補討論会。どちらもパフォーマンスは合格点だったとされ、ペンスの髪に止まったハエにも注目が集まったが、この議論は選挙をどう変えるか>

10月7日に行われた米副大統領候補の討論会で、共和党のマイク・ペンス副大統領は民主党のカマラ・ハリス上院議員を相手にドナルド・トランプ大統領をうまく擁護した。

もっとも、大統領選はジョー・バイデン前副大統領がトランプをリードしており、それを脅かすほどの発言はなかった。

政権が警察の権力行使を支持していると語るペンスの髪にハエが止まったときも、ハエは2分間じっとしていた。まるで見て見ぬふりをすることのできない、トランプ政権の数々の失策のように。

90分間の討論会は、大統領候補の討論会という嵐の後の静けさだった。2人とも相手の発言に口を挟むことは最小限に抑えつつ、「事実」の中身をめぐり火花を散らした。

ハリスは、ジャマイカ人の父とインド人の母の娘としての個人的な物語を共有する機会を捉え、得点を稼いだ。

ペンスは一貫して、トランプ政権は国民のために戦っていると擁護した。批判を浴びている新型コロナウイルス対策についても、もっと悲惨な状況になっていた可能性があるという論理で応戦した。

連邦最高裁判事の指名をめぐり、バイデンは当選したら判事の定員を増やすつもりなのかと繰り返し質問するなど、ペンスの論点ずらしは芸術的だった。経済とは関係がなさそうな議題でも、バイデン政権が普通の市民に与え得る経済的な影響に話を戻した。

ペンスがいつもの堅苦しい態度と落ち着いた口調で通したのに対し、ハリスは司会者が自分のことを敬称なしで呼ぶという失礼なミスをしたのをかばい、自分は有権者と同じ普通の人間だというメッセージを送った。

だが、ペンスの安定感が、より伝統的な政治家を好む有権者にとって、トランプに必要なバランスになることは言うまでもない。

パフォーマンスは合格

副大統領候補の討論会は基本的に目立たないものだが、今年は違う。先に行われた大統領候補の1回目の討論会は、互いに相手より大きな声で話そうとするばかりだった。

そこで、大統領選後にアメリカはどうなるのか、ペンスとハリスが語るのではないかと注目が集まったのかもしれない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

S&P、アダニ・グループ3社の見通し引き下げ 米で

ワールド

焦点:ウクライナ巡り市民が告発し合うロシア、「密告

ワールド

台湾総統、太平洋3カ国訪問へ 米立ち寄り先の詳細は

ワールド

IAEA理事会、イランに協力改善求める決議採択
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 5
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 6
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 7
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 8
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 9
    プーチンはもう2週間行方不明!? クレムリン公式「動…
  • 10
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 10
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中