最新記事

軍事衝突

アゼルバイジャン大統領、アルメニアに紛争地帯ナゴルノ撤退期限設定を要求

2020年10月5日(月)11時40分

アゼルバイジャンのアリエフ大統領は4日、ナゴルノカラバフ地域での戦闘を巡り、アルメニアに同地域やその周辺から軍を撤退する期限を設定するよう求め、応じない限り軍事行動を停止しないと表明した。写真は同日、テレビ演説する同大統領。(2020年 ロイター/提供写真) 

アゼルバイジャンのアリエフ大統領は4日、ナゴルノカラバフ地域での戦闘を巡り、アルメニアに同地域やその周辺から軍を撤退する期限を設定するよう求め、応じない限り軍事行動を停止しないと表明した。

アリエフ氏はテレビ演説で、同国軍は1990年代にアルメニア人勢力が占領した同地域を取り戻すために進軍していると指摘。

「アゼルバイジャンは1つの条件があり、それはこの国の領土の解放だ。ナゴルノカラバフはアゼルバイジャンの領土で、われわれは領土を回復する必要があり、必ず回復する」と宣言した。

「(アルメニア)が軍部隊を撤退させれば、紛争を停止するというのが私の条件だ。しかし言葉ではなく、行動で示す必要がある」と続けた。

その上で、国際社会は30年にもわたり、国連決議を実行に移せておらず、アルメニアにアゼルバイジャンの領土を返還するよう圧力もかけられずにいると批判した。

アリエフ氏は演説で、ロシア、米国、欧州連合(EU)が求めている即時停戦は受け入れない姿勢を鮮明にした。

アルメニア国防省の当局者は、アリエフ氏の演説の直後に、「(アルメニアの首都)エレバンが何らかのリスクにさらされているとは思わないが、どちらにしても戦闘のさなかにある」と述べた。

戦闘は約3万人の死者が出た1990年代以降で最も激しく、ナゴルノカラバフ以外の地域にも広がりつつある。アゼルバイジャンの輸出用の石油パイプラインを巡る懸念も高まっている。

アゼルバイジャンはトルコが支援し、アルメニアはロシアと防衛協定を結んでいるため、地域の他の大国を巻き込む可能性も指摘されている。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


20240528issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年5月28日号(5月21日発売)は「スマホ・アプリ健康術」特集。健康長寿のカギはスマホとスマートウォッチにあり。アプリで食事・運動・体調を管理する方法

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ICC、ネタニヤフ氏とハマス幹部の逮捕状請求 米な

ビジネス

米年内利下げ回数は3回未満、インフレ急速に低下せず

ワールド

イラン大統領ヘリ墜落、原因は不明 「米国は関与せず

ビジネス

FRB副議長、インフレ低下持続か「判断は尚早」 慎
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:スマホ・アプリ健康術
特集:スマホ・アプリ健康術
2024年5月28日号(5/21発売)

健康長寿のカギはスマホとスマートウォッチにあり。アプリで食事・運動・体調を管理する方法

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    娘が「バイクで連れ去られる」動画を見て、父親は気を失った...家族が語ったハマスによる「拉致」被害

  • 3

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の「ロイヤル大変貌」が話題に

  • 4

    米誌映画担当、今年一番気に入った映画のシーンは『…

  • 5

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 6

    中国の文化人・エリート層が「自由と文化」を求め日…

  • 7

    ベトナム「植民地解放」70年を鮮やかな民族衣装で祝…

  • 8

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 9

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 10

    「親ロシア派」フィツォ首相の銃撃犯は「親ロシア派…

  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 5

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 6

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 7

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の…

  • 8

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 9

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 10

    娘が「バイクで連れ去られる」動画を見て、父親は気…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された─…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中