学生世代の約3割が抱える数百万円の借金が、未婚化の一因に?
若者の3人に1人が数百万円の借金を背負っている Anchiy/iStock.
<この20年間に学生世代の奨学金利用率は約3倍に拡大し、この世代の全体の3割近くが多額の借金を抱える状態に陥っている>
未婚化の進行の一因として、奨学金の利用増加があるのではないか。突拍子もない仮説に聞こえるかもしれないが、借金のある人との結婚には誰しも及び腰になるだろう。
「新婚早々、夫が消費者金融で200万円の借金を抱えていることが判明した。離婚できるか?」。こんな相談事例が法律系の専門サイトで紹介されていたが、消費者金融を「日本学生支援機構」に変えたらどうだろう。「新婚早々、夫が奨学金200万円を借りていることが分かった」。今時、こんなケースはザラだろう。それくらい、奨学金という名の借金を抱えている若者は増えている。
奨学金を借りている学生はどれほどで、全学生の何%か。以下の<表1>は、1998年と2017年のデータだ。高等教育機関とは、大学、短大、高専、専修学校専門課程をさす。
この20年間で学生数は390万人から373万人に減っている。これは、短大生と専修学校生が減っているからだ。4大生に限ったら、進学率の上昇により増えている。
奨学金利用者数は50万人から134万人に膨れ上がっている。全学生数に占める割合(利用率)は、1998年が12.8%、2017年が35.9%だ。無利子(1種)と有利子(2種)の構成も変わっていて、以前は無利子が多かったが今では逆転している。
筆者が学生の頃は、奨学金利用率は1割ほどでその多くが無利子だったが、最近では学生の3人に1人が奨学金を借りていて、その6割が有利子だ。20年間で奨学金の利用は増え、良くないことに有利子化(ローン化)も進んでいる。
これは学生の中での話であって、同世代全体で見たらそれほどの量ではないのでは、という疑問もあるだろう。だが、今となっては同世代の大半が高等教育機関に進学する。18歳人口ベースの高等教育進学率(浪人込み)は、1998年で68.3%、2017年では80.3%にもなる(文科省『学校基本調査』)。