トランプ「土壇場の大逆転」2度目は空振り? 前回と異なる要因
2016年の米大統領選で、ドナルド・トランプ氏はぎりぎりまで投票先を決めかねていた有権者を取り込む形で、誰もがあっと驚くような勝利を得ることができた。写真はマイアミで行われたタウンホールに出席したトランプ氏(2020年 ロイター/Carlos Barria)
2016年の米大統領選で、ドナルド・トランプ氏はぎりぎりまで投票先を決めかねていた有権者を取り込む形で、誰もがあっと驚くような勝利を得ることができた。しかし、今回はトランプ氏にとってこうした有権者が救いの神となりそうにないことが、最新のロイター/イプソス世論調査から読み取れる。
11月3日の投票日まで3週間を切った現在、トランプ大統領は全国的にも激戦州でも、民主党候補のバイデン前副大統領に支持率でリードを許す厳しい状況にある。そこでトランプ陣営は、土壇場で態度を決める有権者がトランプ氏に大挙投票し、起死回生の再選をもたらすシナリオに期待をつないでいる。
だが、今月9─13日に行われたロイター/イプソス調査を見ると、投票先をまだ決めていない人の数は4年前に比べてずっと少なく、彼らがトランプ氏とバイデン氏のどちらを選びそうかという点でも五分五分だ。
だから、足元でバイデン氏が全国支持率でトランプ氏に10%ポイントの差をつけ、激戦州でもやや優勢である事実が、そのまま選挙戦の行方を決めることになるだろう。
バージニア大学センター・フォー・ポリティクスの選挙分析専門家、カイル・コンディック氏は「劣勢に立たされたトランプ氏は、態度未定有権者をバイデン氏よりもはるかに多く取り込まなければ追い上げられない。それができないとすれば、バイデン氏のリードは揺るがない」と話した。
トランプ氏にとってさらに不利な材料は、16年に比べて期日前投票数が格段に多くなっていることだ。新型コロナウイルスのパンデミックが影を落とし、投票日の混雑を避けようとする有権者が増えたためとみられる。
フロリダ大学の「USエレクションズ・プロジェクト」によると、16日までに期日前投票を済ませた人は約1500万人に上る。4年前は同じ期間で約140万人だった。
ロイター/イプソス世論調査では、既に投票先を決めている人が多いことも分かっており、この面からも終盤の逆転劇が起きる確率は低下している。「誰に投票するか分からない」や「第3の候補を考えている」と答えた有権者は、全体の8%前後にとどまった。
4年前のこの時期は、トランプ氏と当時の民主党候補ヒラリー・クリントン氏のどちらに票を入れるか迷っていた人は、その2倍以上存在し、それまでクリントン氏が優位にあった選挙戦に波乱要素を加える格好になった。
そして、最後の週に態度未定者の55%がトランプ氏、36%がクリントン氏を選んだことが、投票日当日の世論調査で判明。これがトランプ氏を当選に導く重要な役割を果たした。
特にフロリダ、ミシガン、ペンシルベニアといった激戦州で態度未定者の過半数がトランプ氏支持に回った。その結果、トランプ氏の得票率がクリントン氏を上回ったと言っても、その差はミシガンとペンシルベニアではわずか1%ポイント未満、フロリダは2%ポイント未満だった。