TikTokとの交渉権を得たオラクルのCEOはトランプのお友達、米中対立の命運も握る?
Oracle's Larry Ellison Is One of America's Richest Men and Trump Supporter
TikTokは「パートナー」としてオラクルを選択 REUTERS/Dado Ruvic/Illustration
<TikTokはオラクルを買収相手ではなく提携先としている。米企業の傘下に入らない限りビジネスを禁止する、とするトランプはその提案を受け入れるのか>
中国の動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の米国事業をめぐる買収合戦で、有力候補とみられていたマイクロソフトが、TikTokの親会社バイトダンス(北京字節跳動科技)から買収案を拒否され撤退。代わりにソフトウェア大手のオラクルが提携先の最有力候補として浮上した。
TikTokは、顧客の個人情報が中国に流出しかねないという安全保障上の懸念から、ドナルド・トランプ米政権から9月半ばまでに事業を米企業に売却しなければサービスを禁止すると通告を受けており、複数の米テック企業や小売企業が買収に関心を持っていると言われていた。
なぜ、オラクルなのか? 買収に名乗りを上げたとされるほかの企業とオラクルの違いは、トランプ政権との人脈だ。買収交渉においてマイクロソフトが有力候補とされていた8月半ば、トランプは記者団からこの問題について質問を受けると、ライバルであるオラクルと同社のラリー・エリソン共同創業者を称賛した。
「オラクルは素晴らしい企業だし、オーナーも素晴らしい人物だと思う。彼はすごい人物だ。オラクルは確実に、TikTokの事業を引き受けることができると思う。彼らには9月15日まで時間を与えている」とトランプは述べた。
テック業界では珍しいトランプ支持者
エリソン(76)は1977年にオラクルを共同創業。2014年9月まで同社の最高経営責任者(CEO)を務め、現在は会長兼最高技術責任者を務めている。フォーブス誌によれば、9月14日時点でエリソンはオラクル株の35.4%を保有し、純資産は740億ドルを超えている。
彼はフォーブス誌の2020年版「アメリカで最も裕福な400人」で5位。世界の富豪上位500人の資産をランキングして日々更新するブルームバーグのビリオネア指数では、9月14日時点で11位だ。
エリソンはまた、テック業界のリーダーの中では珍しいトランプ支持者としても知られている。デザート・サン紙によれば、今年2月にはカリフォルニア州ランチョミラージュに所有する土地で、トランプのための資金集めイベントを開催。支持者たちは、トランプとのゴルフと写真撮影のために10万ドルを支払ってイベントに参加した。
このイベントには大勢のオラクル社員が反対し、イベントの数日後に抗議を行った。ブルームバーグによれば、仕事をボイコットしてボランティアに参加する社員もいた。
政治紙のザ・ヒルはこの資金集めイベントに先立って、トランプ政権がオラクルとグーグルの(プログラミング言語Javaをめぐる)著作権訴訟についてオラクルを支持したと報じた。
<参考記事>中国企業は全て共産党のスパイ? 大人気TikTokの不幸なジレンマ
<参考記事>トランプTikTok禁止令とTikTokの正体