TikTokとの交渉権を得たオラクルのCEOはトランプのお友達、米中対立の命運も握る?
Oracle's Larry Ellison Is One of America's Richest Men and Trump Supporter
エリソンは後にフォーブス誌に対し、トランプの政治活動に対して個人的に資金提供を行ったことは一度もないと語った。「私はトランプ大統領が自分の土地を使うのを許可しただけで、資金集めの場にはいなかった。アメリカの大統領は一人だけだ。私は彼が悪人だとは思わない。彼を支持するし、彼の仕事がうまくいくよう願っている」
エリソンは2012年にハワイのラナイ島の大部分を3億ドル前後で購入。2018年にはテスラの株式を約300万株購入し、同社の取締役に就任している。
オラクルの幹部でトランプとつながりがあるのは、エリソンだけではない。現最高経営責任者のサフラ・カッツは2016年12月、トランプ次期大統領(当時)の政権移行チームに参加した。これに反発し、同社の上級幹部だったジョージ・ポリスナー(57)は辞任。ポリスナーは辞表に「私はトランプ次期大統領を支持しておらず、彼を手助けするつもりはない。彼の複数の政策は憲法違反や犯罪すれすれで、倫理的に間違っている。私は可能な限りの合法的な方法で彼に反対する」記し、この内容をリンクトインにも投稿した。
エリソンとカッツは4月、オラクル社員に、米政府によるCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)の治療データ記録を支援するためのクラウドシステムを構築したことを告げた。ビジネス・インサイダーによれば、エリソンが電話でトランプと話し、クラウドシステムを無料で提供すると申し出たという。
「パートナー契約」でトランプは納得するか
本記事の執筆時点で、TikTokの買収交渉が今後どうなるのかは不明だ。米国内のTikTok反対派は、同アプリを運営する中国企業バイトダンスがアメリカの利用者に安全保障上のリスクをもたらすと主張しているが、バイトダンスの幹部は繰り返しこの指摘を否定している。
ロイターが中国国営メディアの報道を引用して伝えたところによれば、バイトダンスはTikTokの米国事業をオラクルにもマイクロソフトにも売却するつもりはないという。ある情報筋は香港のサウスチャイナ・モーニングポスト紙に対して、バイトダンスがTikTokの重要技術であるアルゴリズムを米国の買い手に渡すことはないだろうと語った。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、オラクルが米国内におけるバイトダンスの「信頼できる技術提携相手」となる見通しを報じており、これは事業の完全な売却とは異なるもようだ。米政府はTikTok米国事業の完全な売却を求めており、(場合によってはエリソンが援護射撃を行うことで)パートナーという形でトランプを納得させることができるかどうかは不透明だ。
マイクロソフトは13日に声明を出し、「本日バイトダンス側から、TikTokの米国事業をマイクロソフトに売却しないという通知があった。当社の買収案は国家安全保障上の利益を保護し、TikTokのユーザーにとっても良いものだったと確信している」と説明。事業の売却先に選ばれなかったことを明らかにした。
(翻訳:森美歩)
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