最新記事

2020米大統領選

アメリカ大統領選、早くも空前の訴訟合戦に 激戦州の勝敗も左右か

2020年9月29日(火)11時15分

11月3日の米大統領選まで残り約40日となり、与党・共和党の現職トランプ大統領と野党・民主党候補のバイデン前副大統領の両陣営が、空前の訴訟合戦を展開している。写真はトランプ氏とバイデン氏それぞれの支持を訴えるサイン。バージニア州フェアファックスで18日撮影(2020年 ロイター/Al Drago)

11月3日の米大統領選まで残り約40日となり、与党・共和党の現職トランプ大統領と野党・民主党候補のバイデン前副大統領の両陣営が、空前の訴訟合戦を展開している。双方とも、勝利の鍵を握るとみられる州での票集計ルールについて、自分たちに有利な方向に持って行くのが第一の狙いだ。

今回は新型コロナウイルスのパンデミックという要素があるため、本来なら取り立てて問題にならないはずの投票での署名や消印、郵便投票回収箱(ドロップボックス)の設置方法などで論争が起きた。トランプ氏が根拠を示さないまま郵便投票を批判、集配の遅れにつながりかねない郵政公社(USPS)の経費削減措置を打ち出したことも、訴訟に拍車を掛けている。

ロイターが各州と連邦レベルの裁判記録を調査したところ、22日段階で大統領選挙に関連した係争中の訴訟は200件を超える。また、こうした訴訟を分析しているロヨラ大学法科大学院のジャスティン・レビット教授によると、新型コロナを理由に提起された選挙関連訴訟は少なくとも250件に上る。

パンデミックの影響で、署名義務をはじめとするほんの小さなハードルが、選挙にとって大きな障害になる恐れが出てきている。ニューヨーク大学ブレナン司法センターで選挙権や選挙プログラムを専門に扱うミルナ・ペレス氏は「以前なら投票所にできる長蛇の列は選挙権の侵害や妨害とみなされたが、今は生死にかかわりかねない」と指摘する。

こうした中で民主党は、郵便投票の制限緩和を求めている。実際、有権者が投票所に出向いて感染するリスクを避けたいと考えているため、郵便投票を実施する動きは急拡大している。

バイデン氏陣営の広報担当者は「わが陣営は歴史上最大の有権者保護プログラムを策定し、選挙の円滑な運営を確保するとともに、トランプ氏による民主的なプロセスへの介入の企てに立ち向かう」とコメントした。

一方、共和党は、専門家が郵便投票で不正が発生する事例は極めて少ないと説明しているにもかかわらず、「違法な投票」を阻止すると息巻いている。トランプ氏陣営の顧問弁護士、マシュー・モーガン氏は「民主党は同時に投票するための選挙の仕組みをばらばらにしようとしており、今から11月、そしてそれ以降も、彼らがいかさまを続けることに疑問の余地はない」と述べた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 8
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 9
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 10
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 4
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 9
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 10
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中