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中東

イランを追い込むトランプ式の和平「包囲網」

A Nightmare for Iran

2020年9月26日(土)14時00分
メイサム・ビーラベシュ(政治学者)、ハミドレザ・アジジ(中東研究者)

アデン湾におけるイスラエルの安全保障活動をUAEが後押しすれば、イエメン戦争が終結した後もこの地域で続く水面下の緊張を、あおることになりかねない。

アフリカではこれまで、アラブ世界のパートナーはイランよりイスラエルに好意を示してきた。イランにとって戦略的により重要なアフリカの角とアラビア海で、その歴史が繰り返されないと考える理由は見当たらない。

従って、地域のアラブ諸国、特にサウジアラビアを中心とする国々との包括的な関係回復が、イラン国内で党派を超えて支持されているのも当然だろう。一方でアメリカとの交渉は、経済制裁という屈辱的な圧力の下で、しかもアメリカがソレイマニを暗殺した後では特に、イランの指導者には受け入れ難い。

UAEとイスラエルの唐突な国交正常化は、戦略的包囲網に対するイランの認識を悪化させ、近隣諸国に対してより攻撃的で自制心に欠ける行動を取らせかねない。それがバゲリの言う「根底的な転換」になるのだろう──対立の連鎖を終わらせる出口戦略が見つからない限りは。

From Foreign Policy Magazine

<本誌2020年9月29日号掲載>

【関連記事】UAE・イスラエル和平合意は中東に何をもたらすのか?
【関連記事】バーレーン、イスラエルとの国交樹立へ

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