中国の台湾侵攻に備える米軍の「台湾駐屯」は賢明か
China Will Start War If U.S. Troops Return to Taiwan Warns Global Times
台湾の防空識別圏に入った中国軍のH-6爆撃機(写真は昨年、東シナ海上空で航空自衛隊が撮影した同型機) 防衛省/REUTERS
<このままでは敗北するというアメリカ側に対し、米軍が台湾に戻れば戦争だと中国>
米海兵隊のウォーカー・D・ミルズ大尉は、米陸軍大学発行の軍事誌「ミリタリーレビュー」最新版で、米軍は台湾に駐屯すべきだとする論文を発表。これに中国共産党機関紙系のタブロイド紙「環球時報」の編集者・胡錫進が、ツイッター上で強い反発を表明した。
ミルズは論文の中で、東アジアのパワーバランスがアメリカや台湾から中国寄りに傾きつつあると指摘。アメリカに「台湾の主権を守る決意があるならば」、台湾に地上軍を駐屯させることを検討すべきだと主張した。
「龍の抑止」と題した論文の中で、ミルズは現在のパワーバランスでは台湾への奇襲攻撃の「可能性がより高まっている」と警告。米指導部は「中国との意図的かつこれまで以上に世界規模に及ぶ紛争」に反対する国際的圧力に「勇敢に立ち向かう」べきだとの考えを述べた。
「人民解放軍(PLA)の攻撃に対して米軍が迅速に対応できないとしたら、残された道は2つ。PLAがあっという間に台湾に侵攻するのを受け入れるか、時間もコストも代償も伴う上に成功の保証もない作戦の遂行を余儀なくされるかだ」とミルズは書いている。
「正義の戦いを始める決意」
これに噛みついたのが、中国政府内でもより強硬派の見解を反映している環球時報の胡だ。彼はツイッターにミルズの論文のタイトルを投稿し、「アメリカと台湾でこのような考えを持っている人々に警告する」とコメントを添えた。
「米軍が台湾に戻れば、PLAは中国の領土を保全するための正義の戦いを始める決意だ。中国には反国家分裂法がある」と胡は続けた。2005年に制定された同法は、台湾が独立を宣言した場合、中国政府は台湾への武力行使も辞さないと予告するものだ。
胡のこのコメントと時を同じくして、中国は大規模な軍事演習を実施、中国軍の複数の戦闘機が停戦ラインである台湾海峡の中間線を越えて台湾の防空識別圏に入り、台湾が中国に警告を発する事態が発生していた。
台湾国防部はこの一件について、「一つの中国」政策の下で台湾を吸収したいと考える中国本土による「嫌がらせであり脅し」だと非難した。アメリカは1979年に制定された台湾関係法で、台湾の防衛に協力することがアメリカの義務であると定めている。