インドネシア、コロナ死者1万人突破 政府は打つ手なく迷走し医療崩壊の危機
規制強化で摘発、違反相次ぐ事態に
9月14日のPSBB規制強化以降、州政府は規制の違反者、違反企業への取り締まり、罰則も強化し、その摘発に力を入れている。その結果、従業員の感染が確認されたり、保健衛生ルール違反などでジャカルタ州政府から操業一時停止、一時閉鎖といった処分を受けた事業所、工場は57社に上る。そうしたなか、感染者352人を出したジャカルタ郊外の工業団地にあるエプソンのプリンター工場は自主的に工場閉鎖を決めた。
さらに「マスク非着用」などの違反行為で摘発したのは約5万6000人で、うち約2000人から罰金として3億1350万ルピア(約222万円)を徴収。2万6000人は罰金支払いの代わりとしての社会奉仕に従事し、残りは口頭や書面での注意を受けたとしている。
さらに店内飲食禁止のルール無視による闇営業や従業員のマスク非着用などを理由に約100店の飲食店が一時閉鎖処分を言い渡されている。
東ジャワ州の州都スラバヤではマスク非着用を検問で咎められた警察官が同じ警察官とケンカになる事例や、自家用車を1人で運転している市民がマスク非着用を警察官などから注意され「密閉区間に1人でいる車内でのマスク着用の意味があるのか」と食って掛かるといったトラブルも増えているという。
また、スカルノハッタ国際空港で抗体検査を担当していた大手製薬会社子会社の社員からセクハラを受けた女性乗客が告発、空港警察が容疑者や目撃者の捜査に着手したという。
このように14日以降のPSBB規制強化とともにルール違反やクラスターや不祥事が続発しており、感染対策が強化され一方で「ルール無視、軽視」も増加しており、市民の「遵法精神」の欠如が感染拡大に輪をかけているとの指摘も出ている。
大統領はワクチンに期待示すのみ
こうしたなか、ジョコ・ウィドド大統領は23日に国連総会にビデオ出演して「コロナ禍での国際社会の医療面、経済面での協力強化」を呼びかけるとともに「すべての国が安全で手が届くワクチンにアクセスできることの重要性」を訴えて国際社会で進むコロナ・ワクチンの早期開発、早期提供への期待を示した。
インドネシアはワクチンの「独自開発」を進める一方で中国大手製薬会社との共同研究によるワクチン開発を進めている。その一方で各国にワクチンの提供を広く呼びかけてもいる。
なんといっても約2億7000万人という世界第4位の人口を抱える大国だけに、十分なワクチン確保には中国だけでなく国際社会の相当な協力が不可欠という状況があるからだ。