関係悪化の責任は安倍前首相にあると煽ってきた韓国、菅首相誕生への反応は
対話を求める動きも
日韓関係が悪化している原因に文在寅政権の協定無視と合意破棄がある。18年10月、韓国の大法院が日本企業に対し、元半島出身労働者に金銭の支払いを命じる判決を下し、日本政府が日韓請求権協定違反だと抗議したが、文政権は司法の独立性を名目に放置した。翌11月には慰安婦問題日韓合意に基づいて設立された和解・癒やし財団を解散すると発表した。
イスラム過激派組織のISILや北朝鮮が使用した兵器に日本製部品が使われていることが明らかになり、韓国メディアが韓国政府の輸出管理体制の問題点を指摘した直後の19年7月、日本政府が韓国向け輸出管理の強化を発表すると、文在寅政権は大法院の判決に対する報復だと主張して日本製品不買運動が広がった。続いて韓国政府は「日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)」を延長しないと日本に通告し、関係が悪化した。
韓国政府を批判する声もある。与党・共に民主党の文喜相(ムン・ヒサン)前国会議長は駐米特派員出身ジャーナリストの会である韓米クラブの季刊誌「韓米ジャーナル」で、韓日関係の放置は百害あって一利もなく、両国民すべてに被害を与えると日韓両政府を批判した。朴槿恵政権下で国会議長を務めた鄭義和(チョン・ウィファ)氏も、日本を理解しようと努める姿勢が必要であり、日本より良い国になることが美しい報復だと語っている。
菅新首相が就任した9月16日、文在寅大統領と丁世均首相が就任祝いと対話を求める書簡を送り、外交部も談話を発表した。いっぽう菅首相は就任後の記者会見で中国とロシアとの関係構築に触れ、米国などと連携して拉致問題の解決に取り組むと話したが、韓国には言及しなかった。