菅義偉、政権の大番頭から頂点へ 問われる宰相の力量
安倍氏が首相に返り咲いた2012年末、菅氏は官房長官として入閣する。2016年、同氏は財務省・金融庁・日銀が国際金融市場の動向について情報交換する三者会合を立ち上げた。菅氏は8月のロイターとのインタビューで「(三者会合は)日本の国が何を考えているか、分かりやすいメッセージを(市場に)出せるという意味で有効だ」と述べた。
菅氏の強みについて、大和総研の熊谷亮丸チーフエコノミストは、日本の複雑な官僚組織をうまく動かせる巧みな能力だと指摘する。 菅氏とは頻繁に会っているという熊谷氏は「彼は、それぞれの省庁のキーパーソンが誰かを理解し、組織を動かす方法を知っている」と語った。
頂点に迫る「令和おじさん」
菅官房長官の存在が一般に広く知られるようになったのは、昨年、新元号が「令和」に決まったことを発表した時で、それ以来、子どもにも「令和おじさん」と呼ばれ親しまれるようになった。
今年になって、新型コロナウイルスの感染拡大が経済に打撃を与え、安倍政権の支持率は急落した。安倍首相の健康問題が取りざたされるようになると、次期首相候補として菅官房長官の名前も浮上した。
「官僚出身者たちは政策もこなせるし、演説もうまい人がいっぱいいるんだけど、(菅氏は)それとは違う(年季を重ねた)体臭を感じさせるプロフェッショナル政治家だ」と篠原氏は話す。
2時間半にわたる会食の後、大勢の記者やカメラマンが待ち構える中、二階氏と菅氏は別々にホテルを後にした。 翌日、テレビに出演した菅氏は、「(昨夜の)会食では自民党総裁選の話などしていたのではないか」とのニュースキャスターの質問に控えめな笑みを見せながら、「それは全くないです」といつもながらのポーカーフェースを披露した。
斎藤真理 Ju-min Park Antoni Slodkowski (取材協力:宮崎亜巳 編集:北松克郎 )
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