トランプが「法と秩序」でバイデンを追い上げ、差は誤差の範囲に
Law and Order? Biden, Trump Both Claim They Will Keep Americans Safe
米有権者の関心が暴力と人種差別に移るなか、劣勢だったトランプが支持率で挽回している Kevin Lamarque-REUTERS, Carlos Barria-REUTERS
<バイデンの良識的な主張は、自ら危機を作り出して強いリーダーを演じるトランプにかなわない?>
アメリカ各地で警察による暴力や黒人差別への抗議デモが激しさを増すなか、ドナルド・トランプ米大統領と民主党大統領候補のジョー・バイデン前副大統領がいずれも「法と秩序」の重要性を強調している。だが主張の中身は全く別物だ。
バイデンは8月31日に行った演説の中で、市民による暴動が起きたのはトランプのせいだと主張した。
「トランプは、アメリカ人を恐怖に陥れることで自分を売り込んでいる」と、バイデンはフィラデルフィアで行った演説で述べた。「彼は『法と秩序』の人間などではない。彼は(暴力の)解決策ではなく問題の一部だ」
一方トランプは、警察の暴力に端を発したデモと一部のデモ参加者による略奪や破壊行為を、バイデンや民主党指導部のせいだとする。
トランプ陣営のアドバイザーを務めるジェイソン・ミラーは記者団に対し、「バイデンはずっと隠れていたくせに、まるで何カ月も前から暴力反対を訴えていたような顔をしている」と批判。「警察組織がこぞってジョー・バイデンよりもトランプ大統領の方を支持しているのは道理だ」
トランプ支持者が民兵に
トランプ陣営は(2016年の大統領選に向けた選挙活動の時と同じように)、トランプを「法と秩序」の候補者として印象づけたい考えだ。そのため各都市や州に対して、デモの鎮圧にあたっては連邦軍の派遣も辞さないと繰り返してきた。
「ジョー・バイデンが率いるアメリカでは、アメリカ人は安全に暮らせない」とミラーは語った。
そのバイデンは、自分こそが国を団結させ、新型コロナウイルス危機と経済危機からの再建ができる大統領候補だと主張する。
「ドナルド・トランプが再選されたらアメリカの暴力が減る、と本気で信じている人などいないだろう」とバイデンは述べた。「私たちは幾つもの危機に直面している。ドナルド・トランプが大きくしている危機だ」
各地でデモが激しさを増すなか、多くの衝突が起きている。バイデンは、自警団や民兵を自称するトランプ支持者者たちが街頭でデモ参加者と衝突し、多くの場合それで死者が出ていると指摘。トランプは彼らを放任していると批判した。
「トランプは、法と秩序という言葉を口にすれば自分が強く見えると思っているのかもしれない」とバイデンは言った。「だが自分の支持者に対して、民兵として活動するのをやめるように言えないのは、彼の弱さだ」
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