最新記事

2020米大統領選

トランプが「法と秩序」でバイデンを追い上げ、差は誤差の範囲に

Law and Order? Biden, Trump Both Claim They Will Keep Americans Safe

2020年9月1日(火)16時30分
エリザベス・クリスプ

バイデンは新型コロナウイルスの感染が最初に急拡大した春以降、選挙活動をほぼ行わない時期が続いていた。先週の共和党の全国大会に登壇した演説者たちは、バイデンについて「何度かバーチャルで姿を見せただけ」だと口々に批判した。

大統領選挙までわずか2カ月と迫るなか、激戦州での両候補の支持差は縮まっているようだ。政治情報サイトのリアル・クリア・ポリティクスによれば、6月25日の時点では、バイデンは複数の激戦州でトランプに平均6.2%の差をつけてリードしていた。だが現在では、両者の差は2.7%。多くの世論調査の誤差の範囲内だ。

ギャラップ社が毎月実施している調査によれば、国民はアメリカが直面している最も重要な問題として、犯罪と人種差別の問題に懸念を募らせている。3月の調査では、人種差別が最大の懸念事項と答えた人は全体の3%、人種差別と答えた人は1%に満たなかったが、8月の調査では犯罪が4%、人種差別が10%にそれぞれ増えている。

トランプは民主党の市長や知事が率いる都市や州を声高に批判し、暴力や犯罪はそれら民主党の市長・知事のせいにした。そしてペンシルベニアやアリゾナのような激戦州を含む、複数の地域の警察組合の支持を勝ち取ってきた。

抗議と暴動は違う

ペンシルベニア州バトラー郡の保安官マイケル・スループは8月31日、トランプ陣営がお膳立てしたビデオ会見の中で、「トランプ大統領は法執行機関の仕事を支持しており、安全に賛成で犯罪に反対の立場だ」と記者団に語った。「いま抗議デモを行っているのは、トランプではなくバイデンの支持者だ」

バイデンは、抗議活動と無法状態はまったくの別物だと語った。

「暴動は抗議ではない。略奪は抗議ではない。放火は抗議ではない」と彼は述べた。「これらの行為はどれも、抗議ではない。明らかな違法行為だ」

<参考記事>トランプの岩盤支持層「白人キリスト教福音派」もトランプ離れ
<参考記事>米大統領選で民主党が掲げたのは、かつて共和党が示した理想

【話題の記事】
12歳の少年が6歳の妹をレイプ「ゲームと同じにしたかった」
コロナ感染大国アメリカでマスクなしの密着パーティー、警察も手出しできず
異例の熱波と水不足が続くインドで、女性が水を飲まない理由が悲しすぎる
介護施設で寝たきりの女性を妊娠させた看護師の男を逮捕

20200908issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年9月8日号(9月1日発売)は「イアン・ブレマーが説く アフターコロナの世界」特集。主導国なき「Gゼロ」の世界を予見した国際政治学者が読み解く、米中・経済・テクノロジー・日本の行方。PLUS 安倍晋三の遺産――世界は長期政権をこう評価する。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米、EUの凍結ロシア資産活用計画を全面支持=関係筋

ワールド

米陸軍、ドローン100万機購入へ ウクライナ戦闘踏

ビジネス

米消費者の1年先インフレ期待低下、雇用に懸念も=N

ワールド

ロシア、アフリカから1400人超の戦闘員投入 ウク
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2人の若者...最悪の勘違いと、残酷すぎた結末
  • 3
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統領にキスを迫る男性を捉えた「衝撃映像」に広がる波紋
  • 4
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    なぜユダヤ系住民の約半数まで、マムダニ氏を支持し…
  • 7
    長時間フライトでこれは地獄...前に座る女性の「あり…
  • 8
    【銘柄】元・東芝のキオクシアHD...生成AIで急上昇し…
  • 9
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 10
    「これは困るよ...」結婚式当日にフォトグラファーの…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 6
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 7
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 8
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 9
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 10
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中