大統領選は騒乱の合図? 一方的な勝利宣言や不正投票疑惑の炎上と暴力を止められるのか
'Very Problematic': Zuckerberg on Potential for Civil Unrest After Election
黒人差別反対デモとトランプ支持者の間に割って入る警官たち。選挙後も衝突を止められるのか(写真は9月3日、ニューヨーク) Shannon Stapleton-REUTERS
<新型コロナと人種差別問題で発火寸前のアメリカで、しかも郵便投票の開票で何日も結果発表を待たされる時、何が起こってもおかしくないと、フェイスブックのザッカーバーグも身構える>
11月の米大統領選挙では、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で郵便投票が増えることから、例年よりも選挙結果の判明が遅れると予想されている。こうしたなか、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は、再び選挙をめぐる偽情報が出回る可能性があるとして、備えを進めている。
2016年の米大統領選では、ロシアのトロール(ネット荒らし・情報工作組織)がオンラインで選挙介入を行ったと結論づけられた。だが今回はホワイトハウス内部など、もっと「近いところ」から偽情報が発信される可能性がある。
ドナルド・トランプ米大統領が郵便投票を批判し続けているなか、ザッカーバーグは状況を深刻に受け止めていると語り、候補者が早い段階で(フェイスブック上などで)勝利宣言を行なえば社会不安を煽ることになり「問題だ」と指摘した。
ザッカーバーグは、CBSのニュース番組「CBSディス・モーニング」に出演。番組ホストのガイル・キングとのインタビューの中で、トランプまたは民主党大統領候補のジョー・バイデンが、票の集計が終わらないうちに勝利宣言を行うことの危険性について、次のように指摘した。
不信感を植えつけたいトランプ
「候補者の陣営が勝利宣言をして、その時点で行われている票の集計作業が『不正選挙の証拠だ』などと主張するようなことがあってはならない。そのような宣言や主張は危険だし、選挙の正当性を損なうものだと思う。選挙の後に人々が街頭で抗議したり、騒乱が起きたりするリスクを高める可能性もあると思う。それはとても問題だ」
これはフェイスブックだけが抱えている懸念ではなく、テレビ局や各種ソーシャルメディアの幹部も、今回の選挙をめぐる特殊な状況にどう対応するか頭を悩ませている。
これまでの大統領選挙と異なり、今回は票がきちんと集計されて結果が判明するまでにしばらく(場合によっては何日も)かかると予想されている。
ワシントンやオレゴンなど複数の州では、近年、不在者投票をはじめ郵便投票による選挙を成功させてきたが、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)により、今年は郵便投票がほかの州にも拡大されている。
トランプはこれまで何度も、郵便投票は「不正の温床」と不信感を植えつけようと試みてきた。郵便投票では票の集計が遅れ、結果が不正確なものになる可能性があると主張し、選挙を遅らせることもありうるとまで示唆していた(この案はすぐに議会共和党に退けられた)。
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<参考記事>トランプの嘘が鬼のようにてんこ盛りだった米共和党大会(パックン)