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中東サウジ、カショギ殺害で被告8人に禁錮7─20年の判決 死刑を減刑
サウジアラビア人記者ジャマル・カショギ氏が2018年に殺害された事件で、同国の裁判所は、8人の被告に禁錮7─20年の最終判決を言い渡した。写真は2019年10月、ワシントンのサウジアラビア大使館前で、カショギ氏を追悼するジャーナリストの保護団体(2020年 ロイター/Sarah Silbiger)
サウジアラビア人記者ジャマル・カショギ氏が2018年に殺害された事件で、同国の裁判所は7日、8人の被告に禁錮7─20年の最終判決を言い渡した。被告の氏名は公表されていない。国営メディアが報じた。
サウジ刑事裁判所は昨年12月、5人に死刑判決、3人に禁錮刑を言い渡したが、カショギ氏の遺族は今年5月、被告らを許す意向を表明しており、これが減刑につながったとみられる。
国連当局者や人権活動家からは、殺人の首謀者らが拘束されずに自由なままだとの非難の声が上がった。
サウジ政府に批判的だったカショギ氏は、婚約者ハティジェ・ジェンギズ氏との結婚に必要な書類を取得するために訪れたトルコのイスタンブールのサウジ総領事館で殺害された。事件を巡ってはムハンマド・ビン・サルマン皇太子の関与が疑われていた。
ジェンギズ氏は判決について、殺人に関与したのは禁錮刑となった8人だけではないと指摘。発表文書の中で「サウジ当局は国際社会に真実を知らせることなく、この事件を終わらせようとしている。誰が計画し、誰が命じたのか。彼の遺体はどこにあるのか」と述べた。
国連の特別調査官、アグネス・カラマール氏は、事件の黒幕である高官らに処罰を与えず「司法を踏みにじった」とサウジ当局を非難。ツイッターへの投稿で、裁判は公平でも透明でもなく、「サルマン皇太子の責任が問われることはなかった」と述べた。
国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチの中東・北アフリカ地域副ディレクターのアダム・クーグル氏も、「サウジの訴訟プロセスが政府高官をいかなる監視の目からも守っているという事実を(個人に対する有罪判決によって)隠すことはできない」と述べた。
また、7月にサウジ当局者20人に対する公判を開始したトルコは、サウジ裁判所の判決について期待外れだと指摘。トルコの捜査に協力するよう、サウジ当局に求めた。
米国務省の当局者は、判決に関する報道を受け、米国はこの事件に関する「サウジの訴訟プロセスを注視」しているとコメント。「サルマン国王が『凶悪犯罪』に分類したカショギ氏殺害に関与した全ての人物に責任を負わせるようサウジ当局に求める」とした。
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