ケネディ対ニクソンから60年 アメリカ大統領選討論会の軌跡
2000年 ブッシュ vs ゴア
共和党のジョージ・W・ブッシュ候補との最初の討論の際、民主党のアル・ゴア副大統領は、ブッシュ候補が話している最中に聞こえよがしに溜息をついたことで不評を買った。2回めの討論の際、ブッシュ候補は「私たちは皆間違いを犯す。私自身、ときどき発音を間違うことで有名だ」と述べた。この発言のなかでもブッシュ候補はわざと発音を間違えていた。ブッシュ候補が当選した。
2004年 ブッシュ vs ケリー
ブッシュ大統領と民主党ジョン・ケリー候補の最後の討論は、有権者に両者のスタイルの顕著な違いを伝えた。ブッシュ大統領が簡潔な根拠にこだわったのに対し、ケリー候補は自分の主張を裏付けるために多くの事実を並べた。ブッシュ大統領は再選された。
2008年 オバマ&バイデン vs マケイン&ペイリン
副大統領候補どうしの活気はあるが礼儀を失わない討論のなかで、共和党ジョン・マケイン候補の相方であるサラ・ペイリン、民主党バラク・オバマ候補の相方であるジョー・バイデンの両氏は、経済とイラク問題について激突した。
ペイリン氏は頻繁に庶民的なスタイルを披露した。ペイリン氏はある時、「ああ、ジョー、何言ってんの」とくだけた調子で言い、おまけに「畜生!」とまで言い添えた。バイデン、ペイリン両氏とも米国の経済政策をミドルクラスの労働者に優しいものにすることを約束したが、バイデン氏は、金融危機の最中にマケイン大統領候補が「経済のファンダメンタルズは強い」と発言したことを指摘した。オバマ、バイデン組が当選した。
2012年 オバマ vs ロムニー
オバマ大統領は共和党ミット・ロムニー候補との最初の討論で失敗し、支持者を驚かせ、気を揉ませた。だが2回めの討論でロムニー候補は、給与の男女格差に関する質問に対し、知事を務めるマサチューセッツ州政府を組織する際にスタッフ候補のなかに「掃いて捨てるほど女性がいた」と発言した。このフレーズは、ロムニー氏を揶揄するツイートやイラスト、フェイスブックでの同名のグループまで生まれるなど、ソーシャルメディア上で大いに話題になった。オバマ大統領は再選された。
2016年 トランプ vs クリントン
ドナルド・トランプ候補と民主党ヒラリー・クリントン候補による1回めの討論は、米国内で8400万人がテレビで視聴した。大統領選に向けた討論としては過去最多であり、デジタル・ストリーミングの時代にあって異例の数値だった。
2回めの討論は非難の応酬に終始し、クリントン候補は、暴露されたばかりの2005年のビデオ映像におけるトランプ候補の女性に対するセクハラ発言を攻撃した。トランプ候補は、対立候補の夫であるビル・クリントン氏の方が女性に対して酷い態度をとっていると非難して、批判をかわそうとした。
クリントン氏は2017年に出版した著書のなかで、2回めの討論の際、トランプ候補がステージ上で彼女の周囲をうろついたことで身の毛のよだつ思いがしたと述べ、「下がりなさい、気持ち悪い」と言うべきだっただろうかと自問している。だが彼女は結局、「それまでの人生で、私を動揺させようという厄介な男たちに対処してきた経験に助けられて、冷静さを保った」と述べている。3回めの討論で、トランプ候補はクリントン候補を「この不愉快な女」と呼び、敗北した場合に選挙結果を受け入れるかどうか明言を避けた。
(翻訳:エァクレーレン)
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