風雲急を告げるポスト安倍レース 後継候補の顔ぶれは?
安倍晋三首相が突然、辞任の意向を固めたことで、後継者レースが本格化する。写真は国会。2016年7月撮影(2020年 ロイター/Toru Hanai)
安倍晋三首相が突然、辞任の意向を固めたことで、後継者レースが本格化する。議院内閣制の日本では通常、与党第一党の党首が首相に任命される。以下、名前が浮上する候補をまとめた。
◎石破茂(いしば・しげる、63歳)
タカ派の元防衛相。安倍首相を批判的な目でみる、自民党内では珍しい存在。世論調査で次期首相候補のトップに名前が挙がるが、党内の国会議員からの人気は高くない。
農林水産相、地方創生・国家戦略特別区域担当相を歴任。2012年の党総裁選では、地方議員と党員が参加する1回目の投票で安倍氏を破り、草の根の支持の強さを見せつけた。しかし、国会議員のみが参加する決戦投票で敗れた。18年の総裁選でも安倍氏に勝てなかった。
経済・金融政策については、日銀の超低金利政策が地方銀行を痛めつけていると批判し、格差拡大を是正するために公共事業の支出拡大を訴えている。
◎岸田文雄(きしだ・ふみお、63歳)
2012年から2017年まで、第2次安倍内閣で長く外相を務め、世界中を飛び回った。
広島県選出の衆議院議員で、控えめとも評される岸田氏は安倍氏の後継者と一般的に考えられているが、世論調査で次期首相候補の上位には名前が挙がらない。
自民党内ではハト派寄りの派閥に属し、安倍氏に比べて憲法9条の改正には前向きでないとみられている。
日銀の超緩和的な金融政策について「いつまでも続けることは難しい」と述べたことがある。
◎河野太郎(こうの・たろう、57歳)
「異端児」、「変人」などと呼ばれることがある防衛相。今年6月には米国の迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備手続き停止を決め、波紋を呼んだ。安倍政権の主要政策とは一線を画すことがある。
米ワシントンのジョージタウン大学で学び、英語が堪能、外相や行政改革担当相を歴任した。
官房長官や衆議院議長、外相などを務めた父の河野洋平氏とは異なる側面を持つ保守政治家。韓国との歴史問題には厳しい姿勢で臨む。洋平氏は1993年、第2次世界大戦中の従軍慰安婦問題について謝罪する「河野談話」を発表した。