新型コロナウイルスを殺せる虫除けスプレー発見
What is Citriodiol? Insect Repellent Appears to Kill Coronavirus
英国防省の研究機関が市販の虫除けスプレーで効果を検証、結果を発表した GOSPHOTODESIGN-iStock
<イギリス軍には4月から、コロナに対する「さらなる用心」のためにある虫除け剤が支給されていた>
イギリスの研究者たちは、虫除け剤に含まれるシトリオジオールに、新型コロナウイルスを殺す効果が期待できることを発見した。
シトリオジオールは、シトリファイン・インターナショナルが開発・製造している油剤だ。ユーカリの一種であるユーカリ・シトリオドラから抽出した油で、同社ウェブサイトによれば、ユーカリの葉の中で通常起きているプロセスを人工的に再現・加速させることで、葉に含まれる成分をp-メンタン3,8ジオール(PMD)という有機化合物に変質させたものだ。シトリオジオールは虫除け効果があることで知られており、米環境保護局(EPA)の認可も受けている。
過去の研究で、シトリオジオールには2004年に流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)を引き起こすウイルス、SARS CoV-1を殺す効果があることが示されていた。そのため英国防省は、シトリオジオールが新型コロナウイルスにも効果を発揮するのかどうか検証を行っていた。
英スカイニュースは4月、イギリス軍の複数の部隊に、シトリオジオールを含む虫除け剤が支給されたと報じた。有害な副作用がないこの虫除け剤は、兵士たちに新型コロナウイルスに対する「より一層の用心」として提供された可能性がある。
さらなる検証に期待
またスカイニュースは、英国防科学技術研究所による研究で、シトリオジオールには新型コロナウイルス感染症を引き起こすSARS-CoV-2ウイルスを殺す作用があることが確認されたとも報じた。
報告書によれば、同研究所が効果を検証したのは、シトリファイン社のスプレー式虫除け剤「Mosi-guard Natural」。研究チームはこの虫除け剤を直接ウイルスにスプレーした場合の抗ウイルス活性と、ラテックス製の「人工皮膚」にスプレーした後にウイルスを付着させた場合の作用を調べた。
その結果Mosi-guard Naturalは、液体の状態でウイルスと混ざり合った時に、新型コロナウイルスに対する抗ウイルス活動が確認された。ラテックス製人工皮膚を使った実験でも、抗ウイルス活動が確認された。
だが報告書には、幾つかの補足説明も記されている。たとえば、人工皮膚は人間の皮膚とは別物であり、人間の皮膚上での作用は実験と異なる可能性がある。また研究チームは、時間経過に伴う作用の変化については実験を行っていない。
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