トランプの感染対策チームで集団免疫論者の医師が台頭
Trump Brings New 'Herd Immunity' Doctor Onto Coronavirus Task Force
だが公衆衛生の専門家や医師は、それほど楽観的ではない。「アトラスに新型コロナ対策チームを率いる資格は全くないと思う」と、公衆衛生を専門とするジョージタウン大学法学部教授のローレンス・ゴスティンはAPに語った。「彼の学位は感染症や公衆衛生とはかけ離れた分野で、伝染病の流行に対処した経験もない」
7月初旬にアトラスはサンディエゴ郡監督委員会のジム・デズモンドとの対話で、新型コロナの感染による死亡率は「70歳未満では0.04%」しかなく、インフルエンザより低いと主張した。しかし、APによるとそのような論文は今のところ1本しかなく、しかも査読前だという。
だがアトラスは、それが正しいと信じて疑わない。「この数字があまり報道されないのは、メディアは悪いニュースだけを煽情的に報道したがるからだ。恐怖やパニックを鎮める効果があるニュースは取り上げない」
今年4月、アトラスが新聞の論説欄に寄稿した記事によれば、「新型コロナ感染者の入院に備えて、何百万人ものアメリカ人のための重要な医療が、延期または中止された」が、最終的には、それほど大きなスペースを新型コロナ感染者のために確保する必要はなかったという。「完全な隔離政策」によって引き起こされる「代償」として、多くのアメリカ人が命を落としたことも指摘した。
「予防接種が存在しないなかで、リスクの高い人々を隔離することができるならば、社会全体にウイルスが広がるようにしたほうがいい」と、アトラスは述べている。
(翻訳:栗原紀子)
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