トランプの感染対策チームで集団免疫論者の医師が台頭
Trump Brings New 'Herd Immunity' Doctor Onto Coronavirus Task Force
最近では、新型コロナ対策に関する会見でトランプに立ち会っているのはアトラス博士(右)だけだ(8月12日)Kevin Lamarque‐REUTER
<トランプが感染対策のアドバイザーとして新たに起用したアトラス医師は、感染予防より感染を広げるアプローチを提唱。ファウチら常識的な対策チームの影響力はさらに小さくなりそうだ>
ドナルド・トランプ大統領の新型コロナウイルス対策チームに、新たに加わったスコット・アトラス博士は、これまで頻繁に保守系テレビ番組FOXニュースに登場、新型コロナについて「メディアは騒ぎ過ぎ」と批判してきた人物だ。
過去1週間の新型コロナに関するホワイトハウスの会見で、トランプの傍に控えていた医師はアトラスだけだった。
かつてトランプの会見に立ち会っていた新型コロナ対策チームを率いる国立アレルギー感染症研究所のアンソニー・ファウチ所長、デボラ・バークス医師の姿はどこにもない。この事は、彼ら専門家とトランプ政権との溝が広がったことを示している。ファウチらは、コロナの脅威を軽視するトランプの意見に真っ向から反対し、マスクの着用やソーシャルディスタンスを支持し、学校再開に反対したことで、保守派やトランプ支持者からも敵視されるようになっている。
アトラスは元スタンフォード大学医療センター神経放射線学部長で、感染対策は現状より緩やかでいいと主張。それをトランプは公的に支持している。
7月初めにFOXニュースに出演した際、アトラスはアメリカが休校した学校を再開しないのは異常で、それはニュースメディアがパンデミック「ヒステリー」を生み出したからだと語った。
みんなで感染すれば怖くない?
政府によるロックダウンのせいで、「自然感染による集団免疫」の獲得が妨げられている、とアトラスは批判する。地域の大半の人が感染して免疫ができれば、感染拡大をスローダウンできる。その結果、免疫のある人だけでなく地域の住民全員が守られる。
アトラスは以前、子供はウイルスに対して本質的に「リスクゼロ」であるため、若くて健康なアメリカ人がコロナウイルスにさらされるのは「良いこと」だと唱えていた。
だがAPの記事で、医学の専門家らがこの説を否定。その根拠として、新型コロナウイルスに感染した若年成人の35%が、陽性になってから2~3週間後の時点でも健康な状態に戻っていなかったという研究を引用した。
トランプはアトラスの対策チーム入りを発表する際に、「スコットはとても有名で、非常に尊敬されている」と記者団に語った。「すばらしいアイデアをたくさん持っているし、これまで私たちがやったことについても高く評価してくれている」
ホワイトハウスのジャッド・ディアー報道官は、アトラスを「世界的に有名な医師」と紹介する声明を発表した。
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