米で増える「保育難民」 働くママにコロナ禍の試練
「ホーム・アローン」
3月末に可決されたコロナウイルス支援・救済・経済保障法(CARES)法に基づき、パンデミックのために保育サービスを利用できなくなった親は、失業給付を受ける資格を与えられた。だが、この制度の認定プロセスは州によってさまざまであり、学校の年度が終了し、一部の保育施設が人数限定で再開されるなかで、いっそう分かりにくくなっている。
労働省では、親たちが通常の夏季保育サービスに頼れるよう、指針の明確化に努めている。ニューヨーク、ミズーリ、ルイジアナなど多くの州は、虚偽申請に対する罰則を設けつつも、利用していた保育施設の閉鎖と受給継続要件の是非について、親たちが毎週、自己認定することを認めている。
乳幼児のための保育施設を見つけるのも困難だが、学齢に達した子どもを受け入れる施設はさらに乏しい。この年代向けのサマースクール企画の多くがオンライン化されてしまったことも親たちを困惑させている。
サラ・サップさんは、11歳の息子アベリーくんに旧型の携帯電話を持たせる計画を練っている。
クリーブランドの郊外ノースオルムステッドで暮らすサップさん(37歳)にとって、気掛かりなのは息子のことだ。時折、なかなか親の言いつけに注意を払わないことがあり、サップさんがウェイトレスとして高級バーで働いているあいだ、独りで留守番させるほど成熟していないからだ。だが、サップさんはほとんど他には選択肢がないと感じている。
当初、オハイオ州が3月にレストランやバーの休業を命じた時点では、サップさんには州の失業給付を受ける資格があった。だが5月になって州は職場に戻っても安全であると宣言し、サップさんのもとには、今後は受給資格がなくなるとの通知が届いた。サップさんは地元のレクリエーションセンターが主催する日中の学童キャンプに息子を登録しようとしたが、企画は中止されてしまった。
今後はさらに多くの問題が山積している。サップさんが暮らす学区では、9月に授業が再開されるときに、すべてオンライン授業とするか、2日間の短縮授業と3日オンライン授業の組み合わせにするかを選ばなければならないと親たちに通知した。だがどちらを選んでも、サップさんはランチタイムのシフトで働くことはできない。
「八方塞がりだ」とサップさんは言う。「どのような角度から見ても、正しい選択があるようには思えない」
Jonnelle Marte and Rachel Dissell(翻訳:エァクレーレン)
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