最新記事

テーマパーク

「打倒ディズニーランド」を掲げるイギリスの没入型テーマパーク計画が明らかに

Details of Theme Park Dubbed 'British Disneyland' Unveiled

2020年7月29日(水)17時50分
バシット・マームード

「ロンドン・リゾート」は打倒ディズニーランド計画と位置付けられている LONDON RESORT

<イギリスがディズニーに対抗する巨大テーマパークをテムズ河畔に建設する>

「ディズニーランドに対抗する」イギリスのテーマパーク計画の一部が明らかになった。

目下「ロンドン・リゾート」と呼ばれるこのプロジェクトの建設計画は、8年前から進行していた。2012年にロンドンの南東に位置するケント州にある敷地にテーマパークを建設する構想が示され、現在は意見聴取が行われている。

このロンドン・リゾートには3500室を擁する4つのホテルの建設計画も含まれており、開業からの1年間で直接的には9000人、間接的には2万人の雇用が創出されるという。

建設費50億ポンド(約6800億円)というこのテーマパークが実現にこぎつければ、ゼロから立ち上げられたものとしてはヨーロッパでは初の大規模テーマパークとなる。

計画地には2つのテーマパークが設けられることになっていて、パラマウント・ピクチャーズやBBCなどのパートナーとともに計画が進められている。ウオーターパーク、会議施設、ショッピングセンターも作られる予定だ。

プロジェクトの最高経営責任者(CEO)を務めるPY・ジェルボオは、こう述べる。「数十億ポンドの投資と、数千人の雇用が創出される。現在ほぼ利用されていない土地が、世界最高クラスの、胸躍るエンターテインメント・スポットへと変貌するだろう」

ウェンブリー・スタジアム136個分の広さ

ジェルボオはさらに、事業運営を実質ゼロエミッション化する目標を掲げ、このロンドン・リゾートを世界で最もサステイナビリティ(持続可能性)に配慮したテーマパークにしたいとの意向を明かした。

2019年に公表されたロンドン・リゾートに関する提案では、その構想をこう説明している。「このプロジェクトは、ヨーロッパ全土で見ても、最も大規模な建設プロジェクトの1つになる。3万人の人員と、数十億ポンドの投資によって、テムズ川の河岸に広がる700万平方メートルの土地が、世界でも有数の規模を持つ、没入型の体験が味わえるレジャーセンターへと変貌する」

「完成時には、イギリスにある他のどのテーマパークと比べても、3倍の規模となる。2つのテーマパークとリゾート・ウオーターパークが、535エーカー(約216ヘクタール)の敷地に配置される。これは、(ロンドンの巨大サッカースタジアムである)ウェンブリー・スタジアム136個分に相当する広さだ」

この建設計画はこれまで何度も延期を余儀なくされてきた。2013年に、イギリスでは希少なハエトリグモの生息地であることが判明したこともその一因となった。

9月21日まで意見聴取の機会が設けられており、一般市民に対して計画に関する意見の提出が呼びかけられている。

計画が予定通り進めば、2022年内に建設作業が始まる。グランドオープンは2024年の予定だ。新型コロナウイルスの感染拡大は今のところ、計画に影響していない。

(翻訳:ガリレオ)

<参考記事>「ディズニーパークに遺灰がまかれている」という都市伝説は事実だった
<参考記事>パクリもここまで来た仰天「ディズニーラオス」

【話題の記事】
科学者数百人「新型コロナは空気感染も」 WHOに対策求める
中国のスーパースプレッダー、エレベーターに一度乗っただけで71人が2次感染
傲慢な中国は世界の嫌われ者
「中国はアメリカに勝てない」ジョセフ・ナイ教授が警告

20200804issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年8月4日号(7月28日発売)は「ルポ新宿歌舞伎町 『夜の街』のリアル」特集。コロナでやり玉に挙がるホストクラブは本当に「けしからん」存在なのか――(ルポ執筆:石戸 諭) PLUS 押谷教授独占インタビュー「全国民PCRが感染の制御に役立たない理由」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、TikTokの米事業継続を「少しの間」

ワールド

ガザ北部の病院、イスラエル軍による退去命令実行は「

ワールド

独クリスマス市襲撃、容疑者に反イスラム言動 難民対

ワールド

シリア暫定政府、国防相に元反体制派司令官を任命 外
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:アサド政権崩壊
特集:アサド政権崩壊
2024年12月24日号(12/17発売)

アサドの独裁国家があっけなく瓦解。新体制のシリアを世界は楽観視できるのか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 2
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が明らかにした現実
  • 3
    おやつをやめずに食生活を改善できる?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    トランプ、ウクライナ支援継続で「戦況逆転」の可能…
  • 5
    【駐日ジョージア大使・特別寄稿】ジョージアでは今、…
  • 6
    「私が主役!」と、他人を見下すような態度に批判殺…
  • 7
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いす…
  • 8
    「オメガ3脂肪酸」と「葉物野菜」で腸内環境を改善..…
  • 9
    「スニーカー時代」にハイヒールを擁護するのは「オ…
  • 10
    「たったの10分間でもいい」ランニングをムリなく継続…
  • 1
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が明らかにした現実
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──ゼレンスキー
  • 4
    村上春樹、「ぼく」の自分探しの旅は終着点に到達し…
  • 5
    おやつをやめずに食生活を改善できる?...和田秀樹医…
  • 6
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 7
    【クイズ】アメリカにとって最大の貿易相手はどこの…
  • 8
    「どんなゲームよりも熾烈」...ロシアの火炎放射器「…
  • 9
    【駐日ジョージア大使・特別寄稿】ジョージアでは今、…
  • 10
    ウクライナ「ATACMS」攻撃を受けたロシア国内の航空…
  • 1
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が明らかにした現実
  • 2
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼンス維持はもはや困難か?
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達し…
  • 5
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命を…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    「炭水化物の制限」は健康に問題ないですか?...和田…
  • 8
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
  • 9
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いす…
  • 10
    2年半の捕虜生活を終えたウクライナ兵を待っていた、…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中