最新記事

2020米大統領選

コロナ恐慌がバイデンを変えた......目覚めた「眠そうなジョー」はルーズベルトを目指す

CHANNELING FDR

2020年7月9日(木)19時45分
スティーブ・フリース(ジャーナリスト)

いま必要なのはフランクリン・ルーズベルトさながらの思い切った財政出動だと、バイデンは考え始めた DANIEL ACKER-BLOOMBERG/GETTY IMAGES

<いま必要な処方箋は新ニューディール政策だ──そんな熱い信念が穏健派の前副大統領を突き動かす>

今年4月末、新型コロナウイルスが全米をパニックに陥れ、大統領選に向けた選挙運動がほぼ停止状態に追い込まれた時期に、民主党の指名候補に確定しているジョー・バイデン前副大統領はオンライン上で経済顧問を招集した。

デラウェア州の自宅地下室に缶詰めになり、もっぱらインターネットを通じて有権者に呼び掛ける日々。考える時間はたっぷりあった。熟慮の末にバイデンは彼らしくない結論に至った。中途半端ではだめだ、もっと大きな構想が必要だ......。

忌憚のない意見を聞かせてくれ、と彼は顧問らに言った。アメリカ経済を立て直すにはどうすればいいか。どんどんアイデアを出してくれ。

11月の本選でドナルド・トランプを下したら、バイデンは歴史的な危機に──世界大恐慌の真っただ中という1933年の大統領就任時にフランクリン・ルーズベルトが直面したような危機に立ち向かうことになる。だからこそ、ニューディール政策並みの解決策を求めたのだ。

これには顧問たちも驚いた。「これは本当に起きたことか」「そう、スリーピー(眠そうな)・ジョーが目覚めたのさ」──そんなテキストメッセージも飛び交った。ちなみにスリーピー・ジョーはトランプがバイデンに付けたあだ名だが、バイデンの仕事中毒ぶりを知る顧問らには逆にこの的外れなあだ名が受けて、仲間内のジョークでよく使われる。

顧問らが驚くのも無理はない。バイデンはこの1年余り、民主党予備選に向けてバーニー・サンダースら急進左派の対抗馬と一線を画し、分別ある候補者として支持を伸ばしてきた。一貫して革命的な変革ではなく、漸進的な改革を主張。大衆受けするバラマキ政策を掲げる対抗馬には「財源はどうするのか」と切り込んできた。

そんなバイデンが、新型コロナウイルスの感染が爆発的に拡大し多数の失業者が出るなか、党内左派に近い政策を打ち出すようになった。さらにそれでは飽き足らず、今やもっと大きな変容をもたらす経済再生プランをぶち上げようとしている。

学生ローンの債務帳消しや大学の授業料無償化も盛り込む。公的年金の支給額増やメディケア(高齢者医療保険制度)の対象年齢引き下げにも踏み込もう。銀行と企業に対する規制も強化する。この際、財政赤字など構ってはいられない。経済を再生させること。そのためにはどれほど大盤振る舞いをしてもいい──。

【関連記事】トランプvsバイデン、それぞれが抱える選挙戦の課題

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

旧村上ファンド系、フジメディアHD株を大量保有 5

ビジネス

「チャイナプラスワン」の東南アジアに米関税の逆風、

ビジネス

JPモルガン、新興国通貨の投資判断引き下げ 最悪の

ワールド

台湾行政院、米相互関税は「不合理」 貿易黒字は対中
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台になった遺跡で、映画そっくりの「聖杯」が発掘される
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 6
    アメリカで「最古の銃」発見...いったい誰が何のため…
  • 7
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 8
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 9
    博士課程の奨学金受給者の約4割が留学生、問題は日…
  • 10
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 6
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 7
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 8
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 9
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 10
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中