最新記事

新型コロナウイルス

中国が新型コロナウイルスは「アメリカ病」と非難

China Media Calls Coronavirus a 'U.S. Epidemic,' Warns of Risk to World

2020年7月6日(月)17時50分
デービッド・ブレナン

新型コロナの感染防止規制に反対する集会に集まった人々(アリゾナ州フェニックス、7月4日) Cheney Orr‐REUTERS

<1日の新規感染者数が世界最悪の5万5千人を超えてなお有効な対策をとらず感染拡大中のアメリカを、中国が「世界に感染を広げる」と警告>

中国の国営メディアはCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)対策を誤ったとトランプ政権を酷評し、この病気を「アメリカ病」と形容し、 トランプ積怨の失敗が世界に脅威を与える可能性があると警告した。

中国共産党の機関紙「人民日報」傘下のタブロイド紙「環球時報」は、7月3日の社説で、アメリカにおける新型コロナウイルスの流行は「完全に制御不能だ」と論じた。

アメリカでは7月2日、新型コロナウイルスの1日の新規感染者数が5万5000人を超え、12月に中国中部の武漢市で始まったパンデミック(世界的大流行)の記録を更新した。アメリカでは、トランプ政権が引き続きこのウイルスを甘く見ており、地方の対応もまちまちで、有効な対策が打てていない。

トランプ政権の新型コロナウイルス対策に関わる米国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)のアンソニー・ファウチ所長は先ごろ、現在の傾向が逆転しなければ、アメリカの新規感染者は1日10万人増えるかもしれないと語った。

独立記念日のビバリーヒルズのパーティーは、絵に描いたようなクラスター源


感染の99%は無害?

ワシントン・ポスト紙によれば、トランプは7月4日の独立記念日の演説で、アメリカの7日間の新規感染数の平均は26日連続で過去最多を記録しているものの、政権はパンデミックを制御するうえで「かなり進歩を遂げた」と語った。さらに多くの感染者が出たが「その99%は無害だった」という不正確な発言もあった。ジョンズ・ホプキンス大学によると、これまで新型コロナウイルス感染症で死亡したアメリカ人は12万9000人以上、感染者は280万人にのぼる。

「米政府が感染を抑制し、より多くのアメリカ人の命を救うために最大限の努力をしているかどうかは疑わしい」と、環球時報の論説はアメリカのやり方を批判。感染者と死亡者が増加しているのに、景気回復を優先していると指摘した。

環球時報は、中国政府とは少し離れた関係を維持しながらも、最も好戦的でナショナリズム的な中国共産党内の感情を伝えるために利用されることが多い媒体だ。

環球時報やその他中国国営メディアの出版物は、中国政府のプロパガンダの最前線にいる。目下のところ、中国政府は新型コロナウイルスのパンデミック発生の責任を回避するために、リベラルな民主主義国家の対応を攻撃する戦略をとっている。

中国は国内の感染拡大を抑え込む点では速やかに行動したが、国際社会に対して感染者の数字を過小報告し、COVID-19がもたらす脅威について十分に警告しなかったと非難されている。

<参考記事>スウェーデンの悪夢はパンデミック以前から始まっていた
<参考記事>新型コロナのワクチンはいつになったらできる?

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエル首相らに逮捕状、ICC ガザで戦争犯罪容

ビジネス

米中古住宅販売、10月は3.4%増の396万戸 

ビジネス

貿易分断化、世界経済の生産に「相当な」損失=ECB

ビジネス

米新規失業保険申請は6000件減の21.3万件、4
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 2
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 5
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    若者を追い込む少子化社会、日本・韓国で強まる閉塞感
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 10
    中国富裕層の日本移住が増える訳......日本の医療制…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中