米大統領選とコロナ禍で、ゆがんだニュースをばらまく怪しいサイトが横行中
Fighting Misinformation
もう1つの怪しげな傾向は、新型コロナウイルスのワクチンをめぐるニュースだ。コロナ禍が拡大し始めるとすぐに、「反ワクチン派」の主張が報じられ始めた。彼らによれば当局は市民を支配するために、有害なワクチン(まだ開発もされていないのだが)の接種を強行しようとしており、それによって製薬会社幹部の懐は潤うばかりだという。
コロナ禍が広まり始めた頃、反ワクチン派のサイトはコロナ禍が製薬会社やグローバリストの陰謀であり、不安をあおってワクチン接種を促すためのものだと書き立てた。だが3月に入り、流行が「本物」と認めざるを得なくなると、ワクチンよりも効く「治療法」を喧伝するサイトが登場した。
人気健康サイトの「ナチュラルニュース・ドットコム」ではビタミンCの点滴を勧め、同時に各種のビタミンC商品の販売を始めた。
反ワクチン派が勢いづいているのは、コロナ禍による外出禁止令は自由を制限するという議論とも関係があるようだ。反ワクチン派はそれを、「接種の義務が自由を侵す」という自分たちの主張に重なると考え、公衆衛生当局をさらに激しく攻撃している。
私たちが抱える問題はコロナ禍だけではない。ウイルスをめぐるゆがんだニュースに「感染」して反ワクチン派になった人々を、こちら側に連れ戻すことも大きな課題だ。
<本誌2020年7月7日号掲載>
【話題の記事】
・地下5キロメートルで「巨大な生物圏」が発見される
・エイリアンはもう地球に来ているかもしれない──NASA論文
・米国防総省の極秘調査から出てきたUFO映像
・老化しない唯一の哺乳類、ハダカデバネズミ「発見」の意味
2020年7月7日号(6月30日発売)は「Black Lives Matter」特集。今回の黒人差別反対運動はいつもと違う――。黒人社会の慟哭、抗議拡大の理由、警察vs黒人の暗黒史。「人権軽視大国」アメリカがついに変わるのか。特別寄稿ウェスリー・ラウリー(ピュリツァー賞受賞ジャーナリスト)