最新記事

ネットメディア

米大統領選とコロナ禍で、ゆがんだニュースをばらまく怪しいサイトが横行中

Fighting Misinformation

2020年7月4日(土)15時45分
ギャビー・ドイチ(ニューズガード記者)

もう1つの怪しげな傾向は、新型コロナウイルスのワクチンをめぐるニュースだ。コロナ禍が拡大し始めるとすぐに、「反ワクチン派」の主張が報じられ始めた。彼らによれば当局は市民を支配するために、有害なワクチン(まだ開発もされていないのだが)の接種を強行しようとしており、それによって製薬会社幹部の懐は潤うばかりだという。

コロナ禍が広まり始めた頃、反ワクチン派のサイトはコロナ禍が製薬会社やグローバリストの陰謀であり、不安をあおってワクチン接種を促すためのものだと書き立てた。だが3月に入り、流行が「本物」と認めざるを得なくなると、ワクチンよりも効く「治療法」を喧伝するサイトが登場した。

人気健康サイトの「ナチュラルニュース・ドットコム」ではビタミンCの点滴を勧め、同時に各種のビタミンC商品の販売を始めた。

反ワクチン派が勢いづいているのは、コロナ禍による外出禁止令は自由を制限するという議論とも関係があるようだ。反ワクチン派はそれを、「接種の義務が自由を侵す」という自分たちの主張に重なると考え、公衆衛生当局をさらに激しく攻撃している。

私たちが抱える問題はコロナ禍だけではない。ウイルスをめぐるゆがんだニュースに「感染」して反ワクチン派になった人々を、こちら側に連れ戻すことも大きな課題だ。

<本誌2020年7月7日号掲載>

【話題の記事】
地下5キロメートルで「巨大な生物圏」が発見される
エイリアンはもう地球に来ているかもしれない──NASA論文
米国防総省の極秘調査から出てきたUFO映像
老化しない唯一の哺乳類、ハダカデバネズミ「発見」の意味

20200707issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年7月7日号(6月30日発売)は「Black Lives Matter」特集。今回の黒人差別反対運動はいつもと違う――。黒人社会の慟哭、抗議拡大の理由、警察vs黒人の暗黒史。「人権軽視大国」アメリカがついに変わるのか。特別寄稿ウェスリー・ラウリー(ピュリツァー賞受賞ジャーナリスト)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 3
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 5
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 6
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 7
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 8
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 9
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 10
    強烈な炎を吐くウクライナ「新型ドローン兵器」、ロ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中