最新記事

ネットメディア

米大統領選とコロナ禍で、ゆがんだニュースをばらまく怪しいサイトが横行中

Fighting Misinformation

2020年7月4日(土)15時45分
ギャビー・ドイチ(ニューズガード記者)

あなたのスマホにも怪しいニュースサイトからの情報が? ILLUSTRATION BY MYKYTA DOLMATOV/ISTOCK

<運営者が不透明な2大政党のサイトをはじめ、ニュースサイトの化かし合いは限度なきレベルに>

11月の米大統領選を前に、ネット上の選挙戦が激しさを増している。しかも、その選挙戦は目に見えにくい。特定の党が支援しているサイトであることを隠しつつ、その党に有利なニュースを流すニュースサイトが横行している。

これはネットの情報の信頼性を評価するニューズガード(www.newsguardtech.com)の調査で分かった(筆者はそのスタッフ)。共和・民主両党とも、込み入った手口を駆使している。コロナ禍での「反ワクチン派」の動きとともに、最新の分析を紹介しよう。

「ザ・フリー・テレグラフ」と「アメリカン・レッジャー」という2つのニュースサイトがある。1つは共和党の州知事協会(RGA)が、もう1つは民主党のスーパーPAC(寄付を制限なく受け取れる政治資金管理団体)が運営している。だが名前だけでは、どちらの党か分からない。

ザ・フリー・テレグラフには、コロナ禍への対応から中国へのスタンスに至るまで、共和党の知事たちを称賛し、民主党を攻撃する記事が並ぶ。RGAがスポンサーだということは、ページの最後までスクロールして調べれば辛うじて目に入る。だがツイッターのプロフィール欄では、RGAとの関係に触れていない。

アメリカン・レッジャーはさらに不透明だ。「アメリカン・ブリッジ(AB)」という民主党のスーパーPACが運営しているが、各ページの下部に「ABPACの資金提供により運営されています」とあるだけで、ABPACが何かという説明はない。

陰謀論からビタミンCへ

内容はザ・フリー・テレグラフとは正反対。秋の選挙で民主党候補が倒したい共和党候補について、ひたすらネガティブな情報を提供している。

コロナ禍のせいで面と向かっての選挙運動ができないなか、候補者にとってネットはこれまで以上に重要な手段だ。怪しげな「ニュースサイト」を使った活動は、今後さらに活発になりそうだ。

<関連記事:フェイスブックに対する広告ボイコットが止まらない

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:もう賄賂は払わない、アサド政権崩壊で夢と

ワールド

アングル:政治的権利に目覚めるアフリカの若者、デジ

ワールド

尹大統領の逮捕状発付、韓国地裁 本格捜査へ

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 4
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 5
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 6
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 7
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 8
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 9
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 10
    本当に残念...『イカゲーム』シーズン2に「出てこな…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 5
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中