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【対論】イスラエルの「ヨルダン川西岸併合」は当然の権利か、危険すぎる暴挙か

THE DEBATE : WEST BANK QUESTION

2020年7月3日(金)14時45分
キャロライン・グリック(イスラエル・ハヨム紙コラムニスト)、マイケル・J・コプロウ(イスラエル政策フォーラム政策担当責任者)

イスラエルは実のところ、西岸併合によって手にするとされる利益の多くを既に享受している。となれば、リスク容認論はさらに近視眼的だ。

イスラエルはヨルダン渓谷の治安権限を掌握しており、旧約聖書でユダヤ人の土地とされている西岸一帯に今やユダヤ人コミュニティーが成立している。パレスチナ自治政府をはじめ、近隣諸国と安全保障関係を結び、イスラエルはユダヤ人の国として国際的に認められている。

併合はこうした現実を危険にさらす。西岸におけるイスラエルの統治権の正式な拡大は、アメリカ以外のどの国にも承認されない(アメリカの承認もトランプ政権の寿命とともに終わるかもしれない)。ユダヤ人が数千年にわたって国家建設の夢を捨てなかったのと同様、主権と独立を求めるパレスチナ人の願いがかき消えることはあり得ない。

西岸を併合しなければ、イスラエルの隣にテロリスト国家の建設を許すことになるという論法は誤りだ。こうした主張の前提には、イスラエルは西岸の統治権を手にするか、西岸から即刻撤退するかのどちらかしかないとの考えがある。だが、西岸からの全面的かつ即座の撤退を求める声など存在しない。

現状を極めて無謀なやり方で覆して自国の行動の自由を破壊するか、現在の基本的な状況を維持しつつ、将来的な恒久的合意を可能にする政治・安全保障上の環境醸成に取り組むか。それこそ、イスラエルに迫られている真の選択だ。

<本誌2020年6月30日号掲載>

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