米中衝突を誘発する「7つの火種」とは
U.S.-China Tension Everywhere
■ファーウェイ
イギリス政府は7月14日、第5世代(5G)通信網から、中国の通信機器大手・華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)の全ての製品を27年までに排除すると発表した。
米政府は、ファーウェイ製品に違法なバックドア(システムに不正侵入するための裏口)が仕込まれていて、中国政府がデータを引き出せると主張している。
トランプ政権は欧州各国にファーウェイ排除を働き掛けてきたが、反応はさまざまだった。イギリスも1月の時点では、ファーウェイの参入を限定的に容認していた。
アメリカは5月にも、ファーウェイがアメリカの技術やソフトを利用できないようにする新たな規則を制定するなど、圧力を強めている。
■香港
(中国が香港の反体制派を直接取り締まることを可能にする)香港国家安全維持法をめぐり、米中の対立が激化。トランプ政権は7月、香港との犯罪人引き渡し条約を停止する準備に入った。
5月にポンペオが香港はもはや高度な自治を維持しているとは言えないと発言。7月にはトランプは香港に対する優遇関税措置撤廃の大統領令に署名した。同月には香港のデモ弾圧に関与した中国当局者らに制裁を科す新法案も米議会が可決。ポンペオは6月下旬にも「香港の高度な自治の侵害」に関与した中国当局者へのビザ発給制限を発表、中国側も報復措置をちらつかせた。
■留学生
5月29日、トランプは中国人民解放軍と関連のある中国人大学院生と研究者へのビザ発給の停止を指示。直接影響を受けるのは現在アメリカに留学中の中国人(約37万人と世界最多)のごく一部だが、中国人留学生を排斥・敵視する動きとみる向きも多い。
トランプ政権は一時、秋学期からオンラインのみで履修する留学生のビザを取り消す新規制も検討(結局、約1週間で撤回)していた。実現すれば影響ははるかに広範囲に及ぶ恐れがあった。
スパイ行為や大学に中国政府の影響が及ぶ可能性を懸念する声にはもっともなものもあるが、中国からの留学生はアメリカの大学で科学技術を学ぶべきではないという極端な主張をはじめ、大半は危険なほど外国嫌悪の論法だ。