トランプのSNS規制方針、連邦通信委員会が同意するかは不明
見直しは長期化も
もう1つの問題は230条の見直しに要する時間だ。FCCは少なくとも数カ月かけて見直しを行い、規制案を作成する前に意見を公募する公算が大きい。新たなルールの最終決定までには1年かそれ以上かかる可能性があり、11月の大統領選のかなり後になる。
1996年に成立した米通信品位法230条の下で、インターネット企業はユーザーが違法なコンテンツを投稿しても法的責任を問われず、一方で合法的であっても、不適切と判断した投稿を削除できる。
企業が「善意」による判断で投稿を削除できるとの規定について、トランプ大統領は「善意」を明確化する規制を「直ちに」作成するようFCCに求めている。また、議会に対しては、230条の法的責任免除の規定を無効にするよう求めている。
FCCの共和党系委員、ブレンダン・カー氏は、FCCが企業の「善意ある行動」の意味を明確化し、許容可能な行動と不適切な行動の線引きをするために意見を公募することになると予想。「最終的な決定が下される時点で、明確な線引きができるというのが私の望みであり期待だ」と述べた。
ツイッターは大統領令について、「画期的な法律に対する保守的で政治色の強いアプローチだ」とし、230条の効力を弱めれば「オンライン上の言論の未来とインターネットの自由が脅かされる」と指摘している。
トランプ氏はかねてから、ツイッターを含むSNSが保守派の意見を封じてきたと不満を表明している。FCCの民主党の委員であるジェシカ・ローゼンウォーセル氏は、「大統領の言論の監督を(FCCに)担わせても問題は解決しない。政府が憲法修正第1条(の権利)をはっきりと主張するべき時がきた」と訴えた。
2020年6月9日号(6月2日発売)は「検証:日本モデル」特集。新型コロナで日本のやり方は正しかったのか? 感染症の専門家と考えるパンデミック対策。特別寄稿 西浦博・北大教授:「8割おじさん」の数理モデル