中国との係争地での軍事衝突、引き下がれないインド政府の事情
圧力の違い
一方のインドでは野党指導者、軍の元司令官や元外交官らが、インド国民の命と領土をモディ氏が守れなかったと批判している。中国製品ボイコットの呼び掛けも多数に上り、国内メディアは隅から隅まで中印の軍事衝突に関連するニュースばかりだ。
中国はインドとの係争地を巡り、1962年の短期的な軍事衝突でインドに屈辱的な思いを与えた。インド側からすれば、中国からの国境紛争の脅威は新型コロナ危機の影を薄くしている。インドでの感染者は40万人を超えたが、なお衰える兆しはないにもかかわらずだ。
シン前首相は、インドはモディ氏を支持はしているが、モディ氏にはそれに応える責任があると訴える。「われわれは歴史的な岐路に立っている。わが政府の決定と行動は、将来の世代が今のわれわれをどう見なすかという点で重大な意味を持つ」と述べた。
アナリストによると、こうした発言によってモディ氏は面目を失わずに譲歩するのが困難になっている。モディ氏はインドを経済的、軍事的な大国にするとの公約を掲げて2014年に首相になった。
しかし、その後のインドは中国に一段と水を空けられた。中国の経済規模はインドの5倍、軍事費の規模は3倍になっている。
コントロール・リスク社は、モディ政権が世論の圧力をなだめるため、中国に対して経済的措置を取る可能性が高いと指摘。インドにとってより強大なライバル国と軍事的にぶつかるリスクは回避するとの見方を示した。
(Yew Lun Tian記者 Sanjeev Miglani記者)
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