最新記事

朝鮮半島

北朝鮮・金与正、韓国の特使派遣提案を拒否 非武装地帯への部隊展開を表明

2020年6月17日(水)12時00分

北朝鮮は6月17日、韓国による特使派遣の提案を拒否したと明らかにし、非武装地帯に再び部隊を展開すると表明した。写真は韓国側を監視する北朝鮮兵士(奥)。2019年8月、南北非武装地帯で代表撮影(2020年 ロイター/Kim Hong-Ji)

北朝鮮は17日、韓国による特使派遣の提案を拒否したと明らかにし、非武装地帯に再び部隊を展開すると表明した。

朝鮮中央通信(KCNA)によると、韓国の文在寅大統領は15日、鄭義溶・国家安全保障室長と徐薫・国家情報院長を特使として派遣することを提案。しかし、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の妹、金与正党第1副部長ら党幹部は「無神経で邪悪な提案を拒絶」したという。

KCNAは文大統領について「『危機を乗り切る』目的で特使を派遣しようとし、頻繁にばかげた提案をしているが、そうしたたくらみがもはや通用しないということを理解する必要がある」と指摘。

「韓国当局の無能さと無責任によって引き起こされた南北間の現在の危機の解決は不可能であり、適切な代償が払われて初めて終止符を打つことができる」とした。

韓国大統領府は17日、韓国は北朝鮮の無分別な行為をもはや受け入れることはないと表明。大統領府報道官はまた、金与正氏による文大統領への批判は「非常に無礼でばかげた行為であり、南北首脳が築いた信頼関係を根本的に傷つけた」と述べた。

金与正氏はKCNAの別の声明でも、文大統領を厳しく批判。2018年の南北首脳会談での合意事項を1つも実行に移しておらず、南北関係を「米国の操り人形」にしたと主張した。

北朝鮮側はさらに、朝鮮人民軍(KPA)総参謀部の報道官が、南北の経済協力事業を実施してきた金剛山と開城に部隊を展開すると表明。また非武装地帯から撤去した監視所を再び設置するほか、脱北者団体が頻繁にビラ散布を行っている西部の境界付近の砲兵部隊を増強し、警戒態勢を「最高レベルの戦闘任務」に引き上げると述べた。

南北境界線付近で韓国政府を批判するビラを散布する活動を再開する方針も示し、「南に対するビラ散布に好ましい地域は前線全体に広がるだろう。北朝鮮人民のビラ散布の取り組みは軍事的に保証され、周到な安全保障措置が取られる」と語った。

*内容を追加します。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・スウェーデンの新型コロナ感染者数が1日最多に、死亡率も世界屈指
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・フロリダの新規感染者1日で最多の2000人超 アメリカに忍び寄る新型コロナ第2波
・街に繰り出したカワウソの受難 高級魚アロワナを食べたら...


20200623issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年6月23日号(6月16日発売)は「コロナ時代の個人情報」特集。各国で採用が進む「スマホで接触追跡・感染監視」システムの是非。第2波を防ぐため、プライバシーは諦めるべきなのか。コロナ危機はまだ終わっていない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエル首相らに逮捕状、ICC ガザで戦争犯罪容

ビジネス

米中古住宅販売、10月は3.4%増の396万戸 

ビジネス

貿易分断化、世界経済の生産に「相当な」損失=ECB

ビジネス

米新規失業保険申請は6000件減の21.3万件、4
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 2
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 5
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    若者を追い込む少子化社会、日本・韓国で強まる閉塞感
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 10
    中国富裕層の日本移住が増える訳......日本の医療制…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中