最新記事

米暴動

トランプの着々と進む「戦争」準備、ワシントン一帯に兵を配備

Exclusive: Trump Moves Military Forces to Near-Wartime Alert Level in D.C.

2020年6月3日(水)17時50分
ウィリアム・アーキン(元陸軍情報分析官)

ワシントンの州兵部隊によれば、「ホワイトハウスと連邦記念碑の近くで行われる抗議活動の間も秩序を維持するために、何百人もの兵士と航空部隊が米国公園警察、連邦警察、地下鉄警察を支援している」。

「私は利用可能なすべての連邦および、民間、軍の資源を動員している」と、トランプは1日、自分の意のままに使える「何千人もの」軍と州兵に触れた。2日夜には、10の連邦機関の法執行官が、ホワイトハウスや議会の周囲、連邦機関やモニュメントの周囲を中心にワシントンに配備された。これには、FBI、ATF、麻薬取締局、米国元帥と司法省の刑務所役員局、税関と国境警備局、ICE、国土安全保障省のシークレットサービスと沿岸警備隊が含まれる。

全米で少なくとも26の州とワシントンは現在、「生命と財産を守り、平和、秩序、公共の安全を維持するために」州兵2万人以上を動員していると、州兵総局の局長ジョセフ・レンゲル空軍大将は言う。

州兵部隊を動員したのは、アリゾナ州、アラスカ州、カリフォルニア州、コロラド州、フロリダ州、ジョージア州、イリノイ州、インディアナ州、ケンタッキー州、ミシガン州、ミネソタ州、ノースカロライナ州、ネブラスカ州、ネバダ州、ニューハンプシャー州、ニューヨーク州、オハイオ州、ペンシルベニア州、サウスカロライナ州、サウスダコタ州、テネシー州、テキサス州、ユタ州、バージニア州、ワシントン州、ウィスコンシン州の全26州。州兵部隊は、引き続き連邦政府の要請を受けて各州知事が命令を出す「連邦任務」と、各州知事の指揮下の任務を遂行している。

反乱法発動の第一歩か

さらに地元の警察には、FBIやその他の連邦政府の法執行官が加わった。

そして、空中では連邦政府の監視機が1日、ニューヨーク州バッファロー、イリノイ州シカゴ、ワシントン、ミシガン州デトロイト、テキサス州エルパソ、フロリダ州マイアミ、カリフォルニア州サンディエゴ上空で監視飛行を行った。その大半は税関・国境警備局(CBP)の所属だが、FBIや軍の航空機とヘリコプターも使われた。

トランプ大統領は2日、自分の目標は「暴動と略奪を止めさせ、破壊と放火を終わらせ、法を守るアメリカ人の権利を守ることだ。その権利には修正第2条(国民が武器を保有し携帯する権利)も含まれる」と述べた。

この発言を、一部のアナリストは、1807年に制定された秩序回復のための法律、いわゆる反乱法を発動する第一歩になるかもしれないとみている。この法律は、アメリカ国内で暴動や反乱、謀反を鎮圧するために軍隊を使うことを可能にするものだ。

トランプは、州知事が暴動を制圧できない場合には、大統領権限で行動を起こすと言った。各州知事の合意なしに反乱法を発動して軍隊を派遣すると示唆したものだ。

<参考記事>全米暴動、トランプは米軍を投入するのか
<参考記事>警官と市民の間に根深い不信が横たわるアメリカ社会の絶望

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏とゼレンスキー氏が「非常に生産的な」協議

ワールド

ローマ教皇の葬儀、20万人が最後の別れ トランプ氏

ビジネス

豊田織機が非上場化を検討、トヨタやグループ企業が出

ビジネス

日産、武漢工場の生産25年度中にも終了 中国事業の
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 3
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 4
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 5
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 6
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 7
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 8
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 9
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 10
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中