全米暴動、トランプは米軍を投入するのか
Trump Has Military Poised to Intervene, Whether Governors Want It Or Not
国内の治安維持に連邦軍が投入されればきわめて異例の措置となる REUTERS/Jonathan Ernst(6月1日、ホワイトハウス周辺) Jonathan Ernst-REUTERS
<6月1日、デモが始まって6日目にやっと国民の前に姿を表したトランプは、「必要なら米軍投入」すると言った>
アメリカでは、白人警察官の暴行による黒人男性死亡事件への抗議デモが全土に拡大し、40以上の州や都市で夜間外出禁止令が敷かれ、15の州とコロンビア特別区で州兵が動員された。動員数は、市民の暴動鎮圧目的の作戦ではこの30年あまりで最も多い7000人超で、6月1日の夜までにはこの倍に増える見通しだ。
連邦政府はこれに加えて、警察官や(FBIと国土安全保障省の)諜報当局者にも、各州や自治体を支援するよう指示している。
鎮圧作戦を担当する米北方軍(NORTHCOM)のある高官(匿名)は本誌の取材に対し、「新型コロナウイルスの感染拡大危機への対応がようやく落ち着いてきたところで、突然慌ただしくなった」と語った。
「3カ月の激務で州兵たちは疲弊している。彼らのストレスに対処しなければならないだけでなく、我々の任務に強引に割り込んでくる州知事や市長、連邦機関にも対応しなければならないのは酷だ」
地元の警察を支援する目的で、一度に10を超える州に州兵を動員するなど初めてのことだと彼は指摘する。連邦軍も、ホワイトハウスの要請があれば出動する準備はできているという。「大統領がどんな命令を下すか次第だ。それによって状況は大きく変わる」と彼は言う。
<参考記事>ミネアポリスの抗議デモが暴動に......略奪から店舗を守ろうと武装市民が警護
既に憲兵2400人に準備命令
NORTHCOMには、市民の暴動鎮圧を目的とした「作戦計画3502」と呼ばれる緊急時対応計画がある。何百ページにも及ぶ作戦計画には、民間人による騒乱が発生した際に、軍が当局を支援する上での職務内容が詳しく説明されている。それによれば、民間人による騒乱(反乱、暴力行為、違法な妨害や集団での暴力行為、法と秩序を守る上で有害な行為など)について、大統領が「州当局や地方当局の対応では治安回復ができない」と判断した場合には、米軍の武力を使うことも許可されている。
丸腰のデモ隊に暴力を振るう警官もWho is this serving?
— jordan (@JordanUhl) May 31, 2020
Who is this protecting? pic.twitter.com/IK8DkwLLUT
前述のNORTHCOMの高官は、国防総省から米国内の4つの基地(コロラド州フォートカーソン、カンザス州フォートライリー、ニューヨーク州フォートドラムとノースカロライナ州フォートブラグ)に配属されている約2400人の憲兵に準備命令が出たと語る。5月29日の午後以降は、いつでも4時間以内に出動できる準備をしておけ、という命令だ。